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氏名 飯塚 正人
(IIZUKA, Masato)
所属 アジア・アフリカ言語文化研究所
フィールドサイエンス研究企画センター
フィールド研究班
職名 教授
生年月 1960年9月
HP http://www3.aa.tufs.ac.jp/~masato
E-mail masato@
専門 イスラーム学,中東地域研究
自己紹介  
最終学歴  
取得学位 文学修士(東京大学)1988年
現在の教育活動 外国語学部
大学院(前期)
大学院(後期)
共同研究   アル=アフガーニーとイスラームの「近代」(平成10-平成15)
最近5年間の研究 過去5年の研究内容は,以下のように分類・整理することができる。すなわち,(1)近現代イスラーム政治思想の研究,(2)イスラーム運動の社会経済基盤の研究,(3)各国政府によるイスラーム政策の比較研究,(4)現代イスラーム思想における生命倫理の研究,(5)イスラーム教徒による対米「テロ」の研究である。

なかでも核となったのは,(1)近現代イスラーム政治思想の研究であった。1970年代半ば以降各地で顕在化したイスラーム復興のうねりは,単に専門研究者に実態解明を要請しただけでなく,それまで支配的な地位を占めてきた近代化論的歴史解釈にも再考を促した。「近代化」とともに影響力を失う宗教(イスラーム)といったイメージは,この時根底から覆されたのである。こうした状況を背景に,そもそも近代以降「改革者」と呼ばれた思想家たちが何を主張してきたのか,を問い直す動きが生じてきた。言いかえれば,近現代イスラーム思想史に強い「脱宗教化」志向を読み込んできたこれまでの学説の有効性が問われたのである。ムハンマド・アブドゥフ研究に始まる一連の思想研究は,こうした要請に応えるなかで生まれた。そこでは,彼らが西欧への盲従を批判し続けたこと,西欧近代文明を取捨選択する形でのイスラーム復興を目指したことなどが明らかにされている。社会秩序に宗教的な基盤を与えようとする動き,政治をイスラーム化しようとする衝動は,常にムスリムのうちに存在し続けたのであった。

一方,同時代研究としての(2)イスラーム運動の社会経済基盤の研究は,主として1988年から90年,また95年から97年にかけてエジプトで実施し,その後も断続的に継続している現地調査に基づいている。エジプトにおいてイスラーム運動を支えてきた社会経済基盤については,これまで武装闘争を推進する「過激派」を対象とした研究だけが注目を集めてきたが,筆者はイスラーム世界最大の勢力を誇るムスリム同胞団の社会経済基盤に着目し,弁護士協会など職種別シンジケートにおける活動と,湾岸産油国・同胞団間に横たわる複雑な経済関係を明らかにした。

実は,結果としてこうした研究と表裏一体の関係を成すことになったのが,(3)各国政府によるイスラーム政策の比較研究である。これはもともと,アラブ諸国におけるナショナリズム政権とイスラーム運動の対立過程を類型化すべく設定されたテーマであったが,92年以降事実上の内戦に突入したアルジェリア情勢を受け,各国のイスラーム政策がイスラーム運動を興隆させてしまうという,ある種,皮肉な現実を分析する試みへと転化した。アラブ諸国政府の多くは,イスラーム的正当性を保持するため,自ら「イスラーム国家」を名のり,現行法こそイスラーム法にほかならないと主張している。しかしイスラームを国家原則と位置づけてしまう点で,この戦略は両刃の剣であり,一歩間違えば逆にイスラーム運動の勢力拡大を招きかねない。本件は「現代においてイスラーム法はどうあるべきか」という,ムスリム自身が決定すべき最も根源的な課題とも関わっており,今後も筆者の研究の柱を成すものと考えられる。

ところで,2001年度以降は以上3つの柱に加え,(4)現代イスラーム思想における生命倫理の研究を開始した。20世紀における生命科学の著しい発展は,脳死,安楽死,臓器移植,妊娠中絶,遺伝子操作,体外受精といった,いわゆる「生命倫理」に関わる諸問題を人類全体に突きつけている。こうした状況のなかで,人類の5人に1人が信じているイスラームの知的な遺産を無視できないことは明白であろう。にもかかわらず,この側面に関する研究は,内外を問わずあまり進んでは来なかった。その理由の一つは,現代イスラーム世界において,生命倫理をめぐる論争が不可避的に政治闘争の道具となってしまい,本来あるべき思想形成が妨げられてきたことにもある。よって,この新たな研究では,イスラーム古典における生命倫理思想にも目を向け,現代における生命倫理論の論拠を検証していくという方法を採っている。

なお,2001年9月11日以降は,米国における同時多発テロ事件の勃発を受け,(5)イスラーム教徒による対米テロの論理と背景に関する研究をも進めてきた。対米テロについては,誰がなぜ行うのか,という根本的な問いへの回答すらいまだ与えられておらず,諸説入り乱れているのが実情である。実は,テロリストが「イスラム原理主義者」なのかどうかすら,明らかになったとは言えない。テロリストは誰なのか,「イスラム原理主義者」とは誰のことなのか,なぜ彼らは米国と戦うのか。イスラームにおける「ジハード(聖戦)」の思想を参照しつつ,これらの問題に答を出していく作業には強い社会的要請もあり,今後しばらく携わることになると思われる。
所属学会 日本中東学会 (評議員)
日本イスラム協会 (監事)
地中海学会 (常任委員)
日本オリエント学会
主要研究業績 中東から見る世界と日本の中東政策 学芸総合誌環【歴史・環境・ 文明】(雑誌) 21/2005年春 48-53 藤原書店、東京 2005.4.30

「ふつうのムスリムを敵に回さないために」『現代思想』臨時増刊号第31巻第5号,青土社,pp.156-161,2003.4.15.

「アメリカ一極支配への免疫―中東諸国の無変化に何を読むか」『en-taxi』第2号,扶桑社,pp.91-94,2003.6.27.

「解題―現代イスラーム世界における人口爆発とガザーリーの遺産」青柳かおる『現代に生きるイスラームの婚姻論―ガザーリーの「婚姻作法の書」訳注・解説』,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所,pp.152-160,2003.8.15.

「第7回日本中東学会公開講演会報告:世界史のなかのイスラーム」『日本中東学会ニューズレター』No.95,pp.3-6,2003.12.19.

「中東諸国におけるイスラム勢力の動向」『中東諸国における政治情勢及び経済等の現状と今後の展望』,株式会社富士総合研究所,pp.23-32,2003.12.

世界史小辞典編集委員会編 『山川世界史小辞典』(改訂新版),1063pp.,山川出版社,2004.1.15.(共著)

「先の見えない復興地図―イスラーム社会にとってのイラク戦争」『月刊オルタ』2003年6月号,アジア太平洋資料センター,pp.7-10,2003.5.25.(インタビュー)

「イラク侵攻以後―中東諸国・イスラム圏はどう変わるか」『世界』第716号,岩波書店,pp.130-143,2003.7.1.(座談会記録)

「飯塚正人氏講演」『歴研ニュース』No.154,東京大学教養学部歴史学研究会,pp.16-29,2003.9.19.(講演会)

「「対テロ戦争」とイスラーム世界」『参加システム』28号,参加型システム研究所,pp.5-7,2003.11.

ボスニア内戦とイスラーム世界 ナショナリズムから共生の政治文化へ:ユーゴ内戦10年の経験から (佐原徹哉) 155--163 北海道大学スラブ研究センター 2002

近代における「ムスリム社会」の変容---静寂から行動へ,国境を超える同胞意識の「再生」へ 思想 (941) 69--85 2002

イスラム教と国際紛争 婦人通信 (527,528) 26--28,22--24 2002

パレスチナ (エリアス・サンバー著) 198 創元社 2002

スンナ派の近現代イスラーム思想史概観 別冊『環』 (4) 195--204 2002

テロと報復の連鎖を逃れるために 力の意志 (27 もっと好奇心!中東が知りたい) 82--83 2002

“軍人”シャロンの戦争の論理 エコノミスト (4月23日) 36--38 2002

イスラームのさまざまなタブー 力の意志 (26 もっと好奇心!中東が知りたい) 80--81 2002

イスラーム主義勢力と中東和平---「ハマース憲章」再考 イスラエル内政に関する多角的研究 viii,111--127 日本国際問題研究所 2002

中東諸国に見られる貧富の格差 力の意志 (25 もっと好奇心!中東が知りたい) 82--83 2002

偶像禁止と出版の切実な関係 季刊・本とコンピュータ (2002春) 138--139 2002

「イスラム原理主義」をどう見るのか 情況 (3月) 30--41 2002

政教分離は可能か~ポリティカルゲームの縮図 力の意志 (24 もっと好奇心!中東が知りたい) 80--81 2002

〈米国テロ事件で炙り出された〉イスラームに無知な「知識人」たち 中央公論 (平成14年2月) 112--119 2002

米国テロ・アフガン問題。宗教とは関係ないところに本質はある エコノミスト (1月29日 学者が斬る) 48--51 2002

宗教から見たエジプト 名古屋港 (118) 12--16 2002

「イスラム原理主義」とジハードの論理 「対テロ戦争」とイスラム世界 (板垣雄三) 1--22 岩波書店 2002

大国による干渉の歴史 力の意志 (23 もっと好奇心!中東が知りたい) 80--81 2002

アズハルに集う学生たち カイロ 世界100都市ここに行きたい ( 第7号 週刊朝日百科 ) 18--19 朝日新聞社 2002

イスラム原理主義者と自爆テロ ビンラディンの論理 201--222 小学館 2002

イスラームの諸宗派概説---スンナ派からハワーリジュ派まで 文藝別冊だれでもわかるイスラーム(入門編) (KAWADE夢ムック) 50--55 河出書房新社 2001

社会変革思想としてのイスラーム 月刊オルタ (1月) 9--11 2001

ユダヤ教もイスラム教もルーツは同じ 力の意志 (22 もっと好奇心!中東が知りたい) 90--91 2001

イスラームが芯からわかる15問15答 中央公論 (平成13年12月) 70--81 2001

よくわかるイスラム原理主義のしくみ 199 中経出版 2001

ウサマ・ビンラディン その虚像と実像 エコノミスト (11月12日臨時増刊) 34--35 2001

アッラーは同時多発テロを命じたか 文藝春秋 (平成13年10月緊急増刊) 130--133 2001

上エジプト紅海県とオマーン,UAEにおける聖者廟調査 イスラム圏における交通システムの歴史的変容に関する総合的研究 平成10年度~平成12年度科学研究費補助金(基盤研究(A)(2))研究成果報告書 239--264 2001

Gender Ideology of Islam and Women's Public Participation in North Africa Cultural Change in the Arab World (Tetsuo Nishio) 121--135 National Museum of Ethnology 2001

戦火と貧困に揺れた中東・北アフリカ(人類移動の20世紀) サイアス (64) 84--85 2000

イスラム「原理主義」 別冊・国際 朝日キーワード (新版) 320 朝日新聞社 1999

アラブ地域から見た東南アジア---外交関係・経済関係・宗教運動関係 東南アジア地域の他地域との人的・経済的・文化的関連に関する調査研究 85--98 (財)産業研究所 1999

Compatibility of Islam and Democracy JIME Review (11-42) 5--8 1999

エジプト:アズハル・ウラマー戦線理事会の解体 中東研究 (444) 10 1998

イスラーム世界がよくわかるQ&A100 --- 人々の暮らし・経済・社会 (山岸智子) 16+241+12 亜紀書房 1998

イスラームと原理主義 現代中東研究 (18) 12--21 1998

1300の屍の果て。暴走したイスラーム集団 --- 1997年11月,ルクソールでの虐殺事件によせて 歴史学研究 (709) 45--50 1998

世界の歴史と文化 エジプト 385 新潮社 1996

ハーレムの外へ --- 北アフリカにおける女性の社会進出とイスラーム 「イスラム原理主義」とは何か (山内昌之) 254--277 岩波書店 1996

国家原則としてのイスラーム主義 --- 改革の百年,「イスラーム国家」論の伝統は揺るがず エジプトの原理主義運動 現状と分析 (日本イスラム協会) 19--30 (社)日本イスラム協会 1996

ムスリム同胞団と新世代エリート --- エジプトの復興運動のゆくえ イスラームに何がおきているか 現代世界とイスラーム復興 (小杉泰) 100--117 平凡社 1996

ウンマと国家 --- 国民国家を脅かすパン・イスラーム主義の論理 イスラーム国家の理念と現実 (講座イスラーム世界 5 湯川武) 315--355 栄光教育文化研究所 1995

北アフリカにおけるイスラム復興主義 中東新情勢の総合的研究 --- イスラム復興主義の動向を中心として 41--58 総合研究開発機構 1995

イスラムとニッポン 歴史読本ワールド (23) 28--34 1994

ナショナリズムと復興運動 イスラームを学ぶ人のために (山内昌之・大塚和夫) 86--103 世界思想社 1993

イスラム復興主義の社会的基盤 --- エジプト 「イスラム復興主義運動の諸組織と実態」研究会報告書 6--7, 55--60 日本国際問題研究所 1993

現代エジプトにおける2つの『イスラーム国家』論 --- 危機の焦点『シャリーアの実施』問題を巡って 中東諸国における政治経済変動の諸相 (伊能武次) 47--74 アジア経済研究所 1993

アリー・アブドッラーズィクの『政教分離』思想 イスラム世界 (37--38) 1--23 1992

イスラーム国家論の展開 国家と革命 (シリーズ世界史への問い 10 柴田三千雄ほか) 251--276 岩波書店 1991

オラービー運動期のムハンマド・アブドゥフ --- シャリーア施行を巡る戦い --- オリエント (33--2) 20--35 1991
過去10年間に取得した科学研究費補助金・その他の競争的研究経費 平成14-平成17 (基盤研究B) 1990年代半ば以降のイスラーム世界におけるジハード論の受容と実践の研究
平成9-平成14 (創成的基礎研究) 現代イスラーム世界の動態的研究(研究代表者 東京大学大学院人文社会系研究科教授 佐藤次高)
平成13 (特定領域研究) 古典学の再構築(研究代表者 神戸学院大学教授 中谷英明)
平成13 (中核的研究拠点形成プログラム) アジア書字コーパスに基づく文字情報学の創成(研究代表者 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授 ペーリ・バスカララーオ)
平成11-平成12 (基盤研究B) デジタル化の基盤としての出版印刷文化と活字字体史研究(研究代表者 芝野耕司)

last updated on 2010/01/04


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