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2011年11月 月次レポート(平賀陽子 フランス)

短期派遣EUROPA月次報告書 2011年11月

平賀陽子

今年のパリは例年より随分と暖かく、比較的穏やかな秋の日が11月下旬まで続きました。晴れた秋空がこれほど見られるのは珍しいそうです。パリ第3大学通訳翻訳高等学院(ESIT)での研修も早2か月が過ぎました。11月は授業への参加に加え、通訳付きの講演会を拝聴する機会にも恵まれました。

11月2日、パリ第1大学Centre d'histoire de l'Asie contemporaine(CHAC)と東京外国語大学によるシンポジウム「日本 危機に直面して(Japon face à la crise)」がソルボンヌ大学Mainson de la rechercheにて開かれました。主催者の一人として、外語大から渡邊啓貴先生もいらしており、貴重なお話を聞かせていただきました。東日本大震災後の日本は勿論のこと、日本の政治、外交、社会問題について、示唆に富んだ講演、ディスカッションから多くを学ぶことができました。また、プロの通訳を聞く機会に恵まれました。フランス語−日本語、日本語−フランス語の通訳は、ほとんど聞いたことが無かったため、私にとって大きな収穫となりました。講演会、パネルディスカッションという2つの形式での通訳を聞くことができたという点でも、大変勉強になりました。

ESITでは授業が進むにつれ、通訳演習で専門的な内容を扱うことが多くなってきました。以前にも増して、活発なディスカッションが交わされるようになっており、毎回の授業で大きな刺激を受けています。授業以外の練習会も、空いている教室が無くなる程、どの語科も熱心に練習している姿が見受けられます。

修士研究については、11月は授業時間変更が重なった影響もあり、主に日本語科の先生から指導を受けました。先月から引き続き、まず掲載用語の絞り込み作業を行ってきましたが、加えて、用語集の実用性について検討する必要性が出てきました。テーマとして選択した環境問題は、今後も通訳、翻訳の需要が見込まれる分野だそうです。そのため、語彙を身につけるだけでなく、その分野の知識をつけることが通訳者にとっていかに必要かという点について指摘を受けました。実際、環境問題に関連するテーマは、通訳演習の授業でも扱う機会がありました。その際、言葉とその対訳がわかるだけでは通訳者の務めが果たせないことを実感しました。これは、今回の用語集作成に限らず、通訳、翻訳に関わっていくためには、今後も向き合わねばならない課題になると思います。重要なテーマの用語集を作成するだけでは、実用性という面で不十分であるという点も充分考慮に入れて、研究を完成させたいと思います。

パリ滞在も残すところ3週間となりました。悔いが残らないよう、しっかり頑張りたいと思います。

Hiraga11-1.JPGポン・ヌフ(11月中旬)

 

 

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