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2012年9月 月次レポート(柏崎正憲 ドイツ)

東京外国語大学 短期派遣EUROPA 月次レポート(2012年9月分)

2012.10.01 柏崎正憲

概要
 現在までの調査をもとにした論文の執筆。

成果
 先月に引き続き、これまでの調査をもとにした、東京外国語大学海外事情研究所紀要『クァドランテ』に投稿する中間報告論文の執筆に着手した。当初の想定よりも執筆に時間がかかったものの、論文の投稿は月末の締切前に完了した。査読の結果待ち。
 本論文の内容としては、当初の計画どおり、欧州統合に内在する構造的問題を、国際政治経済学におけるグラムシ派のパースペクティヴから、とりわけプーランザスの国家理論の国際政治分析への援用をつうじて分析するものとなった。執筆に時間がかかったのは、筆者にとっては初めての試みとなる、金融、貿易、経済政策のマクロ経済レベルにおける相互関係が、本論文にとって必須だったためである。予定より長引いたものの、経済分析をも含んだ国際政治経済学と呼ぶに値する一論文として仕上がったと自己評価している。EUの「国家性」の問題については、欧州内部の「南北問題」──EUが北・西欧と南・東欧との非対称・格差を狭めるよりも、むしろこの非対称に依拠するかたちで設計されている制度だと言えること、それが2010年以降の危機の構造的要因でもあった──を考察したうえで、EUを国家との類推で特徴づけることはしいという結論にいたった。そのかわりに、本論文では欧州統合を「リージョン水準における帝国間対立の埋め込み」という概念によって規定している。

派遣先大学(マールブルク大学・ドイツ)との連絡状況
 マールブルク大学は10月中旬まで夏期休業となっている。図書館の利用等で、休業中も大学には足を運んでいる。指導教員のジョン・カナンクラム教授との面談は今月は予定されなかった(教授の都合のため)。10月初頭に面談の予定。

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