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2012年6月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

6月レポート

説田英香
派遣先: フライブルク大学(ドイツ)

 6月中旬から第三回目のコブレンツ連邦文書館での史料収集を予定していたが、申請していた史料閲覧の許可がそれまでにおりなかったため、急遽、予定の変更を余儀なくされた。その代わりに、以前収集した史料の分析とそのまとめを行った。また、7月13日から15日に予定されているヘルベルト研究室開催のワークショップで、報告の機会をいただくことが出来たため、その準備に取りかかった。本レポートでは史料分析とワークショップの準備内容に関して簡単に報告する。

 過去2ヶ月間に渡ってコブレンツ文書館で行った史料収集では、約600以上の史料の写しを持ち帰ってきた。一部、まだ手元に届いていないコピーがあるものの、ある程度、内容のまとまった文章を作成できるだけの史料は集まった。分析を行う前に、まずはこれらの史料の分類を行った。収集した史料は1975年から1982年の内務省、労働省および労働庁が中心となっており、僅かではあるが外務省のものも含まれている。 内容的には、外国人政策の全体的な方針に関わる史料、その中でもとりわけ「統合政策」と「帰国促進法」の議論を中心としたものが多い。また時系列順には、1973年6月の外国人政策に関わるコンセプト設定、1975年の外国人政策に関する17のテーゼ設定、1977年の連邦・州委員会による外国人労働政策の方針設定およびそれに関連し、帰国促進政策委員会による「帰国促進政策」に関する構想設定、そして1979年のキューン覚書に代表される外国人政策の方針設定に関する史料が中心となる。史料の種類としては、大半が省庁間の交換文書、省庁内の通達文書そして報告書である。今回収集した史料の大半は、残念ながら従来の研究結果を跡付けるものにすぎない。とはいえ、僅かではあるが中には、違った視点からの考察の手がかりを与えてくれる史料も見つける事ができた。その点については今後、先行研究をもとに慎重に考察を進めて行きたい。7月に予定しているワークショップでは、これまでの中間研究報告として、この新たな視点を紹介する予定である。尚、史料分析は「帰国促進政策」を中心に行った。7月の連邦文書館の訪問に関しては、文書館側からの連絡を待ちたい。

 以上

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