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2012年5・6月 月次レポート(石田聖子 イタリア)

月次レポート

(2012年5-6月、石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])

 2012年5月には、翌月に実施が予定されている博士論文最終審査のための準備を本格的に開始した。具体的には、論文を繰り返し精読し、同時に、審査時に挙がりそうな質問を予め想定し回答を準備した。また、イタリア人の友人の協力を得て、口頭での質疑応答の練習も数度にわたりおこなった。同月中にはまたボローニャ近郊を震源とする地震が発生したことにより大学をはじめ公共施設が閉鎖される等の混乱があり開催が心配されたが、結局、当初よりの予定通り、6月4日の14時半より、博士論文最終審査が実施される運びとなった。両大学指導教員である和田教授とマンゾリ教授にパヴィーア大学のヴィッラ教授を加えた審査委員会による審査では、審査委員各氏から、論文に関する事項確認、質問ばかりでなく、今後の展開を見据えた貴重な意見や助言なども頂戴できた。試問後は、一旦、教室の外に出て委員会による審査を待った。呼び出しがかかり再び入室すると、審査委員会により審査結果が読み上げられ、無事に、ボローニャ大学において映画学博士学位を取得することができた。
 審査の後は速やかに帰国準備に取り掛かった。3年弱にわたり暮らした住居にまつわる諸々の契約の解除、銀行口座の解約、滞在許可証の返却等の帰国準備は予想以上の時間と労力を要するもので、最後は別れを惜しむ間もなく駆けるようにしてボローニャの地を後にすることとなった。
 それでも、博士論文審査後は、折りに触れ、総計6年に及んだ博士後期課程の日々を振り返り、同時に、それにまつわる様々な思いがこみ上げてきた。特にボローニャで過ごした最後の二年半の間には貴重な経験を様々にすることとなった。異国の地に拠点を置き外国語で博士論文を作成する日々は自らのあらゆる面での弱さと至らなさに対峙することを迫られる日々でもあった。不条理ながらも、博士論文を完成させ学位を取得する日などいつまでも来ないのではないかと真剣に危惧することも度々あった。そうしたなかでも目標を失うことなく常に前進し、共同学位授与制度のもとでの博士学位取得という所定の課題を達することができたのは、ひとえに今回の派遣の機会を与えてくださり、また、様々なかたちで支援してくださった関係者の方々への心からの感謝の思いのためにほかならない。今後ともたゆまず精進し、別の環境やかたちでこの間に得た成果を還元することでこの恩に報いることができればと考えている。本当に、ありがとうございました。

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