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2012年4月 月次レポート(村松恭平 スイス)

月次レポート(4月) 村松恭平

4月前半は3月に引き続き論文の執筆、後半は執筆の過程で新しく浮上した疑問や論点を補う為の文献の調査を中心に行い、全体として図書館を頻繁に訪れる日が多かった。派遣当初のレポートにも書かせて頂いたが、ジュネーヴ大学(Uni-Mail)の図書館はとても広く、館内は明るく、資料も比較的探しやすい。コピー機やPC、スキャナー等の設備も充実している。
 論文執筆は第二章を中心に進めた。第二次世界大戦後における西欧の経済的状況と貿易政策の一般的傾向、自由貿易主義/保護貿易主義の概念の把握と経済統合との関係性(貿易統合)、戦後西欧における国際貿易上の問題点、貿易ブロック・関税同盟形成に至るプロセス、と内容は少し拡散してしまったが、DieboldやMachlup、Viner等の著作を中心に調査し、興味深い分析や言説に触れることができた。第三章まで一通りの執筆を完了させたら、指導教授であるJovanovic教授に提出し、再度フィードバックをいただく予定である。
 執筆が進む過程で課題もいくつか出てきている。①戦後の経済統合に関する文献は既に多く見つかってはいるが、(主なテーマである)関税同盟の概念に直接言及されている箇所は比較的少なくまだ十分に収集できていないこと、②複数の文献・研究者を比較分析しているものの言説がほとんど重なっているため、これまでの結論を踏襲するに留まり独自の分析評価がなかなか出せていないこと。これらは今後も調査と議論を継続して、できる限り深いものにしていきたい。
 また、4月初旬には、国際会議であるInternational Congress on Energy Securityにも参加する機会を得て、エネルギー分野におけるEUの政策や、欧州が抱える政治・経済的問題の議論に直接触れた。そして、中旬に開催されたシンポジウムでは、"Russie européenne ou Russie asiatique?"(「欧州のロシアか、アジアのロシアか?」)というテーマの下、欧州統合や歴史的研究から、欧州、ロシア、アジアを繋ぐ興味深い発表を聴くことができた。

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