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2012年3月 月次レポート(村松恭平 スイス)

月次レポート(3月) 村松恭平

 4月に入り、ようやく春らしい気候へと変化してきた。桜が満開となり新学期が始まる日本の賑やかな雰囲気とは違いはあるが、街が明るく感じられる春の到来は嬉しいものである。スーパーではホワイトアスパラガスが登場し、(ジュネーブでは外食コストが極端に高いことから)毎日自炊を行っている私としては、春メニューを考案するチャンスである。

 一方で、欧州関連のニュースは相変わらず暗い話が続いている。債務危機問題については、EUやIMFからの資金供給のおかげでギリシャの短期的なデフォルトリスクはなんとか免れたものの、その代償として受け入れることになった緊縮政策によって、先日ギリシャで77歳の男性が抗議を訴えながら自らの命を落とした。スペインやポルトガルなどの南欧諸国においても特に若者の失業が深刻で、このような経済問題が毎日メディアに取り上げられている。戦後、"欧州の経済統合は人々の生活を安定させ、福祉を充実させ、経済を発展させる"と唱えてきた統合提唱/推進者の言葉も今や虚しく感じられる。(通貨統合もその名目で推進された経緯がある。)欧州危機がこれ程深刻になる前は、おそらく日本でも"経済統合"という言葉に対して、どちらかといえば肯定的な見方が強かったのではないかと思う。私自身、研究の中心的キーワードである"経済統合"に何かしら希望的な響きを当初は感じていたが、現実問題を捉え文献の調査を進めるうちに、単純に賛成/反対といった偏りのない、客観的な視点を徐々に得られているものと感じている。
 3月の過ごし方は、論文執筆を中心とし、執筆過程で必要な場合には新たな文献の調査を行った。また、新学期の始まりでもあったことから、興味のあるテーマの授業にも一部参加した。(※欧州研究所においてどのようなテーマの講義が行われているかは、先月のレポートをご参照下さい。)しかし、個別のテーマとして興味はあるものの、残念ながらほとんどの講義は自身の論文テーマからは離れたものであったので、今後は研究テーマの調査に集中する予定である。論文は、自身が納得するような内容にはまだ辿り着いてはいないが、第一章(計約15ページ分)を執筆した。研究所の総会では、指導教官であるJovanovic教授とも、論文進捗の報告や今後の予定について相談する機会を持つことができた。4月も引き続き研究計画を立てながら、焦らずコツコツと論文の執筆、資料の収集・調査を中心に行っていく。 

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