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2012年3月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

3月レポート
説田英香
派遣先 : ドイツ、フライブルク大学

報告者は、2月13日から3月9日の間、ドイツのコブレンツ連邦文書館で史料収集を行った。2月のレポートに続き、本レポートでは、文書館調査及びその後行った史料分析について報告する。文書館での調査に関しては、3週目と4週目を中心に報告する(1週目と2週目については2月レポートを参照)。

 今回の文書館訪問では、1975年から1981年の連邦労働省、内務省、労働庁を中心に、外国人政策(全般)、「統合政策」そして「帰国促進政策」に関連する史料の調査を行った。その中でも特に、まとまった史料の所蔵が確認できた、「外国人政策綱領」(1975年)、外国人労働者政策発展のための「連邦・州委員会」(1976〜1978年)、「キューン覚書」(1979年)関連史料の書き写し及びコピーを行った。今回の閲覧では、1970年代後半における「帰国促進政策」に関する史料を見つけることができなかった。これらは、まだ公開されていない1982年以降の「帰国促進法」に関連の史料とともに綴られている可能性が高いと考えられる。また、「統合政策」についてであるが、用語自体は1970年代後半でも確認することができた。しかし、「統合」よりも「編入」の用語のほうが頻繁に使用されている印象を受けた。従って、これら両者の用語が当時どのように使用されていたのか、その定義を行うことが、今後必要であると感じられた。第3週目に入り、文書館での作業にも大分慣れ、史料の選別をそれまでよりも早く行えるようになってきた。費用を抑えるためにも極力書き写しを行っていたが、時間的な都合により、最後の4週目は専ら、それまでに閲覧したファイルの中で重要とされる史料のコピー申請を行った。4週間で90以上のファイルに目を通すことができた。今回は報告者にとって、最初の本格的な文書館調査であったため、その量を評価することはできないが、初めてにしてはまずまずの出来であると感じている。
 フライブルク大学は2月半ばから長期休暇に入ったため、残りの時間は専ら史料分析に充てることができた。とはいえ、現在手元にある史料は自身で書き写したもの、そしてその場でプリントアウトが可能であったマイクロフィルム(2本)からの一部のみである(コピーを申請している残りの大半の史料は今後届く予定である)。従って、量的にも質的にもまだ文章をまとめられるほどではないため、現在は先行研究と擦り合せながら、各議論をノートに書き留める段階に留まっている。その傍ら、 文書館訪問の際に閲覧した目録をもとに、今後閲覧を希望する1982年以降の史料の公開時期短縮申請手続きを行った(この目録は自宅でオンライン閲覧ができない)。
 報告者は4月23日から同文書館での第2回目史料収集を予定している。今回の調査経験から、史料収集の際、議論の展開が把握できる詳細な年表等があると非常に作業がしやすく、合理的であると感じた。従って、それまでに1980年から1985年の「統合政策」と「帰国促進政策」についての詳細な年表を用意したい。4月は引き続き史料分析を行うとともに、第2回目の文書館訪問の準備を行う。

 以上

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