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2012年12月 月次レポート(柴田瑞枝 イタリア)

月次レポート  2012年12月

博士後期課程 柴田 瑞枝
派遣先:ボローニャ大学 (イタリア)

 師走の今月は、ボローニャの街にも所々にクリスマスの飾りが見られるようになり、旧市街は家族や友人へのプレゼントを探す人たちで溢れて、とても賑やかでした。10月より通っていた、指導教員マルコ・アントニオ・バッゾッキ先生のイタリア近現代文学の講義は、今月中旬になって終了したので、残りの時間は、主に図書館や自宅で研究を進めることに費やしました。いつもはほぼ満席のイタリア学科の図書館も、帰省する学生が多いためか、クリスマス休暇の少し前は閑散としていました。
 冬休みに入る前にバッゾッキ先生と面談をし、先月に続いて、異議申し立て運動を背景にしたアルベルト・モラヴィアのLa vita interiore『深層生活』(1978年)を中心的に取り扱った小論文を執筆している旨を報告しました。また、報告者の博士論文のテーマである「男性作家による女性一人称小説」について、先生の意見を伺ったところ、男性作家の書く女性像や女性一人称の問題だけに注目するのでは充分とはいえないので、同時代の女性作家の描く女性像や叙述形式にも注意するように、とのアドバイスをくださり、具体的に読むべき作品をいくつか勧めてくださいました。限られた時間のなかで、多くの作家の作品を網羅するのは容易ではありませんが、もとより博士論文では修士論文で扱いきれなかったような広範な作品を研究対象とすることが、自身の目標のひとつであったことを思い返し、視野をできるだけ広く保ちながら常に研究にあたらなければならないと、改めて考えさせられた次第です。
 小論文の執筆と並行して、指導教員が参考にと貸してくださった、自身の論文とテーマの共通するところがある博士論文(イタリア人学生が執筆したもの)を何冊か読みましたが、その内容に留まらず、それぞれ構成、文体に特徴があり、自らの博士論文をどのような形に仕上げればよいのか、少なからずアイデアをもらいました。
 滞在予定期間も残すところ1ヶ月半となり、気が焦りますが、イタリアで研究ができる時間を今後も最大限に利用して、その成果を論文という形にまとめられるよう努めたいと思っています。

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