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2011年9月 月次レポート(石田 聖子 イタリア)

月次レポート

(2011年9月、博士後期課程 石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])

 今月20日より、短期派遣ITPによりボローニャ大学での活動を開始した。先月まで12ヵ月間にわたりITP-EUROPAによる派遣のもと同派遣先にて実施した活動同様、本学とボローニャ大学とのあいだで締結された共同学位授与制度に則り博士論文を作成することが今回の派遣期間中においても主な活動内容となる。ところで、渡航前15日には、本学にて開催されたITP-EUROPA派遣成果・派遣計画報告会にて、前回派遣時に得た成果、及び、今回の派遣計画の報告を行う機会を得た。その際に、指導教員や事務局から直接的な指導を受けたこと、派遣者同士での意見や情報の交換を行ったことに加え、自身の研究の現状と今後の展望、特に課題や問題点を言語化して把握できたことは今回時派遣にあたっての志気を高めるための良い刺激剤となったと考えている。
 さて、住居の確保、滞在許可証の取得等、滞在中の生活にかかる諸手続きは前回の派遣時に概ね済ませておいたため、派遣開始直後より、本務である論文作成作業に速やかに取り掛かった。夏の帰国中には、論文補遺である書簡集、及び、文献表の作成、すでに執筆した箇所の推敲、日本でのみ入手可能な関連資料の調査、収集を主として行い、渡航後に本格的な論文執筆作業を再開した。現在、第四章第二節にあたるザヴァッティーニの初期文学作品におけるナルシシズムと笑いの関係について論じる箇所を執筆している。同主題をめぐっては以前に別の機会を得て考察したことがあるが、今回は、博士論文というより大きな枠組みのなかに効果的に組み込むためにも、新たな資料を入手、参照し、より多角的な視点を備えた発展的な議論を試みている。
 現在のボローニャは、初夏からバカンス時期にかけての浮き足立った雰囲気も去り、日中の暑さも和らぎ、しかしまだ寒さも感じられないという研究活動には最適の季節を迎えている。そんななかにあっては、この地に再度あって、研究活動が続けられることの有難みと喜びの思いを新たにせざるをえない。今回このような機会を与えてくださった関係者の方々へ改めて心から感謝するとともに、このチャンスを最大限有効に活用し、最良の成果を挙げられるよう、今後、日々ますます精進していきたい。

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