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2011年3月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

3月 月次レポート(説田英香)

(派遣先)ドイツ連邦共和国 フライブルク大学
(派遣期間)2010年9月21日〜2011年9月20日 

 私の研究テーマは、戦後ドイツ連邦共和国における移民史であります。今月は先月に引き続き、新聞・雑誌などの刊行物を中心に言説分析をしました。3月は、史料調査を中心に研究を進め、また、3月18日には報告者の受け入れ指導教員であるヘルベルト教授 (Prof. Dr. Ulrich Herbert) が運営するFRIAS (Freiburg Institute for Advanced Studies) のワークショップに参加しました。

【史料調査】
 私は現在、当時の状況を再構築するために、80年代におけるトルコ出身移民(外国人労働者・その家族・難民)に関する言説分析を行っております。その中でも、とりわけ当時のドイツ社会でトルコ出身者がどの様に認識されてきたか、という観点に着目しました。まずは、新聞・雑誌などの刊行物を中心に史料を調査しております。先月に引き続き、今月は1950年代から1990年代半ばまでのSpiegel誌の調査を行いました。今後、同様の作業をZeit誌、Frankfurter Allgemeine誌でも行う予定です。

【ワークショップ】
 3月18日(金)にフライブルク大学の研究機関であるFRIAS (Freiburg Institute for Advanced Studies) 歴史研究(School of History) にて、歴史家その中でもとりわけ移民史研究者を対象としたワークショップが行われ、報告者も参加させてもらいました。 今回は、「外国人人口はドイツを変えたか?―変えたとしたら、どのように?(Hat die ausländische Bevölkerung Deutschland verändert? -und wenn ja, wie?)」というコンセプトの下で、ケルン大学所属かつFRIAS研究員(2010年10月〜2011年3月)であるマーレン・メーリング氏 (PD Dr. Maren Möhring)によって、ワークショップが開催されました。
本ワークショップの基調報告として、メーリング氏のHabilitation論文(大学教授資格取得のための論文)でもある「ドイツ連邦共和国における外国人の飲食店」 ( "Ausländische Gastronomie in der Bundesrepublik Deutschland" ) の歴史研究をもとに、移民歴史研究の現状について報告が行われました。その後、オスナブリュック大学のヨーヘン・オルトマー教授(Prof. Dr. Jochen Oltmer)と、コペンハーゲン大学のデートレフ・ジーグフリード教授(Prof. Dr. Detlef Siegfried)によるコメントがあり、全体討論が行われました。ワークショップでは、「移民」「外国人」などの定義をめぐる議論に始まり、移民史研究をドイツ現代史としてどのように位置づけられるかという点を中心に、今後の研究的展望について議論が行われました。現在まさに同様の課題を抱えている報告者にとっては、今後博士論文のコンセプトを固めていくにあたって、非常に有意義なワークショップとなりました。

※FRIAS研究機関について http://www.frias.uni-freiburg.de/history?set_language=de
( 本レポートへの掲載に関しては、コーディネーターのメーリング氏による許可を得ております。)

 

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