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2011年12月 月次レポート(平賀陽子 フランス)

短期派遣EUROPA月次報告書 2011年12月

平賀陽子

12月のパリは街のあちらこちらがクリスマスのイルミネーションで彩られ、華やいだ雰囲気になっていました。12月23日をもってパリ第3大学通訳翻訳高等学院 (ESIT) への派遣期間が終了しました。帰国直前にフランス国内の各空港でセキュリティ・スタッフのストライキがありましたが、無事、予定通りに帰国することができました。

約2か月半、ESITで研修生として学ばせていただき、ESITの一つの特徴であり、大いに刺激を受けたものが多様性です。外語大の通訳コースでは英日、日英通訳のみである一方、フランス語を含む3言語が課されるESITでは多様な言語コンビネーションで通訳演習が行われています。また多様性は、言語だけでなく、学生のバックグラウンドについても当てはまる言葉です。文系、理系を問わず様々な専門分野、社会人経験を豊富に持ち、言語以外にも強い分野を持っている学生が多いと感じました。通訳演習のためのスピーチを学生同士で行うことが慣例になっているため、日本語科以外の学生や翻訳科の学生と交流する機会もありました。スピーチのテーマは社会問題や時事問題が多いのですが、日本人だけでは考えつかない、様々な見解のスピーチは大変興味深いものでした。

今回の研修は、自身の通訳技術を見直すと共に、通訳者教育について考える大きなきっかけとなりました。私にとって3つ目の言語であるフランス語での通訳演習では、「できない」ことが沢山ある反面、なぜできないのか、どうしたら克服できるのか、ということについて深く考えることにつながりました。先生方からのアドバイス、クラスメイトとのディスカッションから得たことを元に、試行錯誤しながら演習に取り組みました。その結果、フランス語のみならず、英日、日英通訳についても自分の弱点を見つけることができました。外語大とESITで2つの通訳教育を自身で体験したことで、多くの気づきがあり、それを自身の成長に活かすだけでなく、通訳者教育に貢献したいという思いが強くなっています。

修士研究も提出が近くなり、まとめの段階になりましたが、研究の実用性を高めること、つまり実務と研究の結びつきを考えることは今後も続けていかねばならない課題であると感じています。ESITの先生方からも、通訳研究はそもそも通訳実務から出発した学問であるということを認識することが不可欠であるとのご指摘を頂きました。

ESITでは、プロとして活躍していらっしゃる先生方からご指導を賜り、そして意識の高い学生から刺激を受け、予想していたよりはるかに多くのことを学ばせていただきました。今回の研修の成果を最大限に活かせるよう、今後の通訳訓練に励み、通訳教育についても考えていきたいと思います。

この場をお借りして、今回の派遣をご支援くださったITP-EUROPA委員会の皆様方、ならびに関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

Hiraga12-1.JPG

ロン・ポワン・シャンゼリゼ(シャンゼリゼ通り)のクリスマスイルミネーション

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