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2010年12月 月次レポート(松澤水戸 スイス)

短期派遣EUROPA月次レポート12月
松澤水戸
派遣先:ジュネーヴ大学(以下、UNIGE)文学部内、ELCF(École de langue et de civilisation françaises)
受け入れ責任者:Laurent Gajo教授(Directeur de l'ELCF)

<12月>
8日にパリで開催された、Interphonologie du français contemporain計画(以下、IPFC)の2010年度の学会に参加しました。オランダ、カナダ、ギリシア、スイス、スペイン、ドイツ、日本、ノルウェー、フランスの研究者たちが集まり、IPFCが収集した/する世界各地のフランス語学習者の音声データをコンピュータデータとしてコーパス化することに関連した発表や議論、上記9カ国のフランス語学習者の発音特徴に関する発表が行われました。音声データ収集用のタスクについて、Moodleを利用してインターネット上でそのタスクを実施する場合の利点と注意点、Moodleの画面構成や操作方法の説明を私が担当しました。この発表について内容を少し報告します。これまで、フランス語学習者の音声をテープもしくはICレコーダによって録音することで実施していたタスク(文字で提示される単語を発音するタスク:世界共通版と地域個別版、音声で提示される単語を発音するタスク:世界共通版と地域個別版、文字で提示される文章を音読するタスク:世界共通版)をインターネット上で実施すると、録音された音声データはフランス語学習者ごとにパソコンデータとしてサーバパソコンに蓄積されるため、容易にコーパス化することが可能です。さらに、インターネットに接続されているパソコンの数だけ、複数のフランス語学習者がさまざまな場所でタスクを実施できるという利点があります。しかし、注意点として、高速なネットワーク環境が必要なことと、ハードウェアおよびソフトウェアの予期せぬ異常事態により正確なデータが収集できない可能性が0%ではないことが挙げられます。フランス語を用いた発表は初めてだったこともあり、本人も滑稽に感じるほど緊張しましたが、発表のあと、「わかりやすい説明だった」との感想をくださった方がいて、忘れがたい非常に貴重な経験となりました。

 また、9日~11日まで開催されたPhonologie du français contemporain計画の2010年度の学会にも9日と10日に聴衆として参加しました。世界各地のフランス語圏の研究者が各地のフランス語母語話者の発音特徴について発表を行いました。

10月から引き続き、Luscher教授、Gajo教授、Racine教授の授業を受講しました。中旬には2010年秋学期の授業が終了し、冬休みになりました。

Sthioul 教授の著書を読みました。
Sthioul, B. (1998). Le passé composé : une approche instructionnelle, Temps et discours. - Louvain-la-neuve, pp. 79-94. Peeters.
内容紹介:複合過去形(以下、PC)の2つの側面:PC de l'antériorité(例:Hier, Chantal est sortie.)とPC de l'accompli(例:En ce moment, Chantal est sortie.)の違いを理解するためには、明示的、または、暗示的な参照点の位置(過去のある特定の時点なのか、発話時点なのか)、出来事の結果・状態が現在にどのような影響を及ぼしているのか、動詞自体の意味、の3点を文脈から読み取ることが重要である、という研究論文です。

<研究協力>
Racine教授も私も8日のIPFCの学会でこれまでに行ってきたことを発表したことでこの協力活動のおおむね完了しました。今後の活動についてはRacine先生と相談中です。

<1月の予定>
博士論文の研究計画を完成させる。

 

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