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2013年1-2月 月次レポート(近藤野里 フランス)

2013年1月~2月
短期派遣EUROPA月次レポート

博士後期課程2年 近藤野里
(パリ第8大学派遣)

 1月および2月は先月に引き続き17世紀末に書かれたRene Milleran(1962)の文法書La nouvelle grammaire francoise.の電子化を行いました。半分ほどまでデータ化ができたのですが、400ページの本を手打ちで入力する作業がなかなか終わらず、分析の開始は4月以降を目標にします。1月の後半はヒルデスハイムで行われた国際セミナーでの発表を原稿に書き直しました。このセミナーで発表した内容は、先行研究をまとめる上で重要なリエゾンへの理論的アプローチについてです。リエゾンへの理論的アプローチは1965年から現在まで様々な提案が行われているため、リエゾンを音韻的現象と捉えるものから形態的現象として捉えるものなど様々な解釈があります。発表の準備および原稿の執筆を行う過程で、理論的アプローチの利点や問題点などが明確になったと感じます。
 パリ第8大学での指導教官との面談が1月半ばに行われました。今回は特にリエゾンが成立した16世紀以前の音声変化について話し合いました。以前にMorin, Y-C. (2005). La liaison releve-t-elle d'une tendance a eviter les hiatus. Reflexions sur son evolution historique. Langages, n°158, pp. 8-23. で読んだことがありましたが、語末子音がポーズの前で脱落した要因のひとつに語末のeの脱落だと言われています。言語変化において語末子音の脱落とeの脱落は類似した点があり、1965年に提示されたSchane (1965)のアプローチにおいてもリエゾンとエリジオンを同じ規則で説明する試みがありました。この点は、リエゾンの成立に至る過程のフランス語の音声の通時的変化についての章で論じてみようと思います。
 2月は帰国前に、パリ第10大学で行われたリエゾンの研究会に参加しました。研究会のテーマは、幼児の言語習得におけるリエゾンの習得についてでした。子供の言語習得とフランス語を外国語とする学習者の習得の比較が大変興味深い発表でした。

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