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2012年9月 月次レポート(牧野波 韓国)

ITP-AA 派遣月次報告 2012年9月

派遣先:韓国外国語大学   博士後期課程 牧野波


 九月は思ったより早く秋らしくなったせいか、大きく体調を崩してしまいました。若干時間をロスしてしまい、他の予定とあわせて派遣中の活動全体を見直すことになってしまいました。あらためて、自己管理の大切さを痛感する月になりました。

 九月は具体的には、以下のような活動を行いました。

1)『動員された近代化』翻訳出版に関する折衝など

 前回の派遣時(2011年10月~2012年3月)に、聖公会大学の曺喜昖(チョウ・ヒヨン)先生とできたご縁で、先生の著書『動員された近代化』(フマニタス社、2007年)を日本語に翻訳する話を頂いていましたが、晴れて日本の彩流社から出版されることが決まりました。それと合わせて、監訳者の方と翻訳のチェック・打ち合わせを行い、またソウルのフマニタス出版社側と彩流社のあいだで出版に関する折衝を行いました。また、曺喜昖先生にも直接お話をうかがう機会を持つこともできました。ITP-AAの派遣でソウルに滞在できたことで、貴重な業績を得る機会に恵まれたことに感謝いたします。

2)環境社会学者・具度完(ク・ドワン)先生へのインタビュー

 法政大学の環境社会学チームが、3.11以降精力的に日本と世界の原子力関連の動きを追った『原子力関連年表・資料集』を現在編纂しています。これに関連して、法政大学サステイナビリティ研究教育機構の金慶南先生の付き添いで環境社会研究所所長の具度完先生にインタビューする機会を得ました。3.11以降、韓国でも徐々に反原発の動きが盛り上がってきつつありますが、そもそも韓国における「反原発」が1970年代~の民主化運動の「反核・反外資」という理念の一部に(どちらかといえば副次的に)含みこまれていたものであり、1990年代の安眠島などの低レベル核廃棄物処分場建設反対運動などを経て「反原発」にまで発展していったなど、さまざまなお話をうかがうことができ、韓国における民主化運動を環境運動という異なるアスペクトから捉える契機となりました。

3)そのほか

 九月は年末の大統領選の候補が出そろい、立候補表明とともに各候補が国立ソウル顕忠院に赴き、参拝のあり様によってその政治的立場を暗に表明していました。国立ソウル顕忠院の政治的象徴性が具体的な政治の場で働くのを、目の当たりにする機会となりました。また、語学能力研鑽の一環として、八月から継続して延世大学で金哲先生が主催なさる読書会へも引き続き参加させて頂きました。

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