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2012年7月 月次レポート(冨澤宣太郎 オランダ)

ITP-AA月次レポート(7月)

冨澤 宣太郎

 ライデン大学への二ヶ月間の派遣は、ライデン大学の夏季休暇の時期とも重なり、大学構内はもちろん、「大学の街」ライデンを歩く人も少なく、ゆっくりとした時間が流れている。私がライデンに到着した7月3日は、今思えば、ライデンの7月には稀な天気で、雲の無い空が広がり汗ばむ陽気だった。到着の明くる日からは、朝晩は雲がたちこめ、小雨が煙る、昼間には時折太陽が顔をみせ痛いほどの日が差す、というライデンらしい天気が続いた。風車が街のいたるところに点在するのも頷けるもので、風が強く、陽が無い時には、この強風と相まって日本の3月ぐらいの寒い気候になる。
 
 今回のライデン大学の派遣は、ライデン大学の日本研究者とのディスカッション、そしてライデン大学にある総合図書館、東アジア図書館での文献調査を目的としている。
 7月4日にはライデン大学のBusser教授とお会いし、大学構内の案内、図書館利用方法などの手引きを賜った。滞在先との契約や図書館利用の事務手続きなどの周辺環境もトラブル無くスムーズに事が進み、オランダ到着後から程なくして、落ち着いた研究が進められている。Busser教授にはその後も、日本研究者を紹介して頂いたり、研究・日常生活上のアドバイスを頂いたりと、教授の細かいお心配りが、私のオランダでの生活の安定した土台を固めて頂いていることを強く実感する。
 7月13日、27日には近世日本思想史を専門となさるBoot教授に指導を頂いた。初回の面談では、教授の論文に関する質問及び論文に含まれる論点について議論した。また、私の修士論文の構想も聞いて頂き、関連する論文を幾つか紹介して頂いた。次の27日の指導では、初回に紹介頂いた関連論文に関する議論を行った。ただ当回での指導では、日本近世思想という具体的事象に関する議論に留まらず、議論が方法論上・認識論上の問題に及んだことは、私にとって有益であった。というのも、Boot教授と私の方法論的前提の乖離は、私自らの方法論的前提を再確認するものとなった上に、異なった方法論的前提の下で意味づけられる日本近世思想も、この乖離を超えて私の研究に直接に有用であり得ることが実感されたからである。8月もBoot教授にはご指導を頂く予定である。
 
 ライデン大学への派遣を一層充実したものとするためにも、研究の短期的な目標としては、Boot教授に紹介頂いた論文の精読と共に論文に含まれる論点の明確化など、教授の毎回の指導に向けて研究を進めていきたい。また中期的には、修士論文で使用する基礎文献を精読することが目指される。

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