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2012年6月 月次レポート(洪性旭 イギリス)

ITP-AA派遣 月次報告書(2012年6月)

報告者:博士後期課程 洪性旭(Sungwook HONG)
派遣先:SOAS University of London(英国・ロンドン)
研究テーマ:アジアにおける社会的企業の持続可能性に関する諸問題

 ロンドンは依然として涼しい日々が続いている。オリンピック開催を目前にしていながら、市内の様子は普段とあまり変わっていない。ただし、来客が数百万に上ると予想されており、市内バスのドライバー組合が給料引き上げを求めストライキを行うことがあるため、交通情報をまめにチェックする必要がある。
 今月は、CAAS定期国際シンポジウム発表のAbstractの提出、海外事情研究所の学術誌『クァドランテ』への書評論文投稿の申請の締め切りが両方とも29日に重なっており、SOASでの諸活動もこのスケジュールに合わせる形となった。今回のCAASシンポジウムのテーマは「持続可能な都市(Sustainable Cities)」であり、都市政策の観点から持続可能性と社会的企業の両方に関連するテーマを設定した。『クァドランテ』書評論文の場合も、自分の研究に用いる文献をレビューするものであるため、両方ともSOAS図書館の文献や電子ジャーナルを参考にすることができた。
 6月28日には、大和日英基金(Daiwa Anglo-Japanese Foundation)が開催するセミナー「After the Disaster: Returning to Normal Life and Play in Tohoku」(http://www.dajf.org.uk/event/after-the-disaster-returning-to-normal-life-and-play-in-tohoku)を聴講することができた。イギリス・Sheffield大学から演者二人が参加し、東日本大震災以降の東北地方の現状や問題点を発表した。中でもPeter Matanle博士は日本を対象地域としている研究者であり、東北地方における経済・社会インフラの増減に焦点を当てていた。日本は本研究の対象地域の一つでもあり、現在の大震災後の復興活動は社会的企業の活動領域にも含まれる。Matanle氏の発表は、対象地域におけるインフラの「復興」と「原状回復」の区別、「経済活動」の厳密な定義など、研究設計の上で見過ごしやすい部分を再び考える契機となった。
 6月29日から7月5日までの7日間は、ハンガリー・ブダペストへ一時出国し、知人の紹介で韓国貿易投資振興公社(KOTRA, Korea Trade-Investment Promotion Agency)・ブダペスト貿易館を訪問した。ここでは、ハンガリーをはじめとする東ヨーロッパ諸国における社会的企業の現われ方、また、韓国との協議の可能性の一つとして、ハンガリーにおいて社会的目的(電子機器の処理・再資源化)を主な活動とする民間企業が韓国からの投資誘致のために用いたプレゼンテーション資料を頂くことができた。
 東ヨーロッパにおける社会的企業の歴史はまだ短いが、東アジアとは異なり協同組合(Cooperatives)の伝統が長く、旧ソ連崩壊以降、社会的協同組合(Social Cooperatives)という形を中心に社会的企業の制度化の試みが見られ始めている。この点は、本研究の対象地域である日本と韓国における社会的企業の現れ方とは対照的なものであり、国際的な視座からの比較をも可能にする手がかりとして有効となることが期待される。

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 <写真>ブダペスト市内
 

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 <写真>KOTRA・ブダペスト貿易館の内部
 

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 <写真>KOTRAが位置するAlkotas Point


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 <写真>KOTRA・マーケティング部オフィス

 

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<図>EWR(Electronic Waste Recycling)-Hungary ltd.の投資誘致プレゼンテーション資料の一部。ハンガリーでは現在、環境負担の軽減や地域経済の活性化といった社会貢献活動は、民間企業もしくは欧州連合からの補助を受けた公共事業によって行われている。韓国の場合、上記のような活動を行う企業は、定款に収益配分に関する項目(純利益の3分の2以上を再投資や社会貢献に還元)を設ければ「認証社会的企業」となり、法人税の減税や人件費・運営費の支援等の優遇を受けることができる。


<追加>賃貸情報掲載の問い合わせ
 本研究者が滞在している住宅の大家夫妻から、数ヶ月の短期滞在を行う日本からの渡航者のために、部屋の情報を提供・更新したいとの要望が寄せられた。今後、上述のような渡航者が部屋を希望する場合、優先的に提供したいとのことである。以下に詳細を記載する。

住所:34 Dalmeny Road, London N7 0DY
賃貸料:140£/週(2012年基準、部屋の条件により可変)
Deposit:賃貸料×4週間分(退室時全額償還)
大家の氏名:Vishnu Jagessar
携帯電話:+44 78 2533 8330(英国国外から)、078 2533 8330(国内)
自宅電話:+44 20 7263 6897(英国国外から)、020 7263 6897(国内)
e-mail address:vishnu5Jagessar@blueyonder.co.uk

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