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2012年3月 月次レポート(牧野波 韓国)

ITP-AA 派遣月次報告 2012年3月分

博士後期課程   牧野 波(派遣先:韓国外国語大学)


 3月に入って、零下十度を下回った二月が嘘のように、ソウルも春を迎えました。派遣最終月となるこの月は、17日の国際語文学会での発表の準備と、22日の帰国にむけての準備でてんやわんやな状態になってしまいました。

〇国際語文学会での発表

 ソウル滞在中ずっとお世話になった韓国外国語大学の李慧眞さんのご紹介を受け、3月17日に「朴正煕期の文化政策 ―文化公報部を中心に―」と題した発表を行いました。
 派遣者の研究対象の一部である、独立紀念館(1987年開館)と戦争紀念館(1994年開館)の展示における大きな共通点である「国難克服史観」は、朴正煕政権期に体系的に立ち上げられました。朴正煕政権期に新設され、国家のプロパガンダ普及と伝統文化政策を担うことになった文化公報部(現・文化体育観光部)がこの国難克服史観の定立には大きくかかわってくるため、文化公報部の政策の推移を時期別に概観し、その役割を朴正煕政権期当時における最大にして唯一のメディアと位置付けて発表を行いました。
 参加してくださった方々からは、朴正煕政権の時期別の性格の変化と文化政策の方針とを合わせて分析することの必要性の提起や、発表文の章立ての見直しの提案など、多くのコメントを頂き、派遣者にとってまたとない勉強の機会となりました。この発表文は、頂いたコメントなどを内容に反映させ、大学紀要『言語・地域文化研究』に投稿する予定です。

 この発表をもって、派遣研究のしめくくりとなりました。新しい課題を多く抱えての帰還となりましたが、あらためて大変多くのことを学ぶ機会を頂いたことに感謝いたします。約六か月のあいだお世話になった多くの先生方、ソウルで出逢った友人たち、国際交流係の皆さんにも、この場を借りて心から御礼申し上げます。

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