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2010年9月 月次レポート(テーイプジャン・ユスプ トルコ)

TUFS-ITP月次レポート2010-9
                                                                                                Tayyib Yusuf

 9月に入り、イスタンブルの気温は徐々に回復し始め、現在は比較的快適な気候になっている。そして、今月から新しい学年度が始まり、筆者が所属するミーマール・スィナン芸術大学においても、27日に2010年度秋学期の授業が開始された。

  今月は前月に引き続きタンズィマート期における定期刊行物の調査や収集を行った。調査に際しては、今まで中心的に利用してきたイスラーム研究センターのデータベースに登録されているものの、なんらかの理由で図書館側の職員たちの協力を得ても書庫から一部の史料がみつからないという状況に直面したこともあった。同センターで入手できない定期刊行物は、別の図書館などで引き続き調査を行い収集をはかった。タンズィマート期における定期刊行物のうち、1839年から1876年までの間に長期にわたって刊行されていた新聞・雑誌などについては、今回の派遣以前に日本で知識を深めてきたが、このトルコ滞在中の調査の結果、特に今回中心的研究対象にしている1860-67年の間について、長期的に刊行された新聞・雑誌以外に、イスタンブルで創刊された短命の新聞をいくつか発見することができた。

  こうして新しく発見した新聞のうち一部は、アンカラにある国立図書館(Milli Kütüphane)の定期刊行物データベースに保存されていることが確認された。この図書館の場合、ネット上で入会し、同図書館と提携するトルコ・イシュ銀行(Türkiye İş Bankası)にクレジットカードを利用して一定の金額を振り込むことによって、図書館のデータベースからオスマン時代の定期刊行物のPDFファイルがダウンロードできる仕組みになっている。ところが、銀行に振込みしたにもかかわらず、原因は不明であるが、一時史料をダウンロードできない状態に陥った。幸い、図書館職員の親切な対応で、メールや電話によって問題を解決し、新しく確認した史料を収集できた。また、今まで収集してきた史料のうち、欠番となっていた多くについても国立図書を利用して収集することができた。

 史料収集以外に、集めた史料を精読しメモを作っている。今月は、1863年に創刊された雑誌である『鏡』を解読し、雑誌の創刊目的、出版社、雑誌に投稿された記事、そして特徴などについてまとめた。

 派遣先指導教員であるウチュマン教授との連絡状況だが、秋学期に開催されるゼミについて話し合いをし、教授の紹介で、『科学・芸術協会(Bilim ve Sanat Vakfı)』により10月上旬に週一回開催される予定の「オスマン語ゼミ」に履修登録することができた。

 今後もイスラーム研究センターを中心に史料調査・収集を行うと同時に、補助的に国立図書館も利用する。また、収集した資料を継続的に精読すると共に、来年1月27にまで続く上記のゼミに参加する予定である。

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