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2010年1月 月次レポート(幸加木文 イギリス)

ITP-TUFSレポート 2010年1 月
                                                                                                         幸加木 文

 今月は社会全体も落ち着きを取り戻し、個人的にも新しい環境に慣れたこともあり、集中して勉強に取り組むことができた充実した1カ月となった。
 研究の進捗については、先月に引き続き文献収集とその読書メモの作成を往復しながら進めた。また去年のワークショップで報告した原稿の初校チェックを行った。SOASでの指導教員であるヨルゴス・デデシュ先生には、この1カ月の進捗を報告し研究対象や関連する文献等についてアドヴァイスを頂いた。週1で出席させて頂いているトルコ語クラスでは、英国人学生よりも留学生が多く、トルコ語を習う上で難しく感じる点がそれぞれの母語との関係で微妙に異なる様子が窺えて興味深かった。
 また、SOAS および近隣のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で開催されたトルコ研究に関するセミナーや、トルコ人作家の講演会などを聴講した。ロンドンではイスタンブル以上に、トルコ研究の著名な先生方にお目にかかれる機会が多いという感触があるが、特に今月は、本プログラムの応募時に指導教員のお引き受けを依頼していたが、退職予定であることと論文指導をする学生を多数抱えている等で謝絶されたデニズ・カンディヨッティ先生のセミナーを聴講する機会を得た。これまでの研究成果を随所に効果的に盛り込みながら、現在の問題関心と分析とを織り上げてゆく見事なプレゼンからは多くを学ぶことができたように思う。また、聴講者からは比較研究の観点からの質問が相次ぎ、活発な質疑応答からもよい刺激を受けた。しかし、現在の自分の研究の方向性を思えば、デデシュ先生をご紹介頂いたことはより一層有意味であったようにも思う。1日、1週間単位でも数多の紆余曲折を経る中でこうと決めた方向に研究を進められるよう引き続き努力したいと考えている。

Kokaki1-1.JPG  
写真は、上述のLSEでのセミナーを聴講後、ウォータールー橋を渡った先で目に入ってきた映画館の壁面である。見慣れた光景に、錯覚が起きたかと一瞬本気で思わされたが、2010年の欧州文化首都の一つであるイスタンブルの広告であった。この例に限らず、ロンドンで何がしかのトルコの意匠や表象を見出す機会は少なくないというのが実感である。

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