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2009年6月 月次レポート(幸加木文 トルコ)

ITP-TUFSレポート 2009年6月
                                                                                                          幸加木 文

  光のような速さで日が経った気がする1カ月となった。
  まず、派遣先機関のイスタンブル・ビルギ大学欧州連合研究所のアイハン・カヤ教授に、8月の研究発表に向けた論文の進捗を連絡した。
  つぎに、今月は研究対象に関する報道がいつにもまして多く、発表準備に集中しなくてはならない状況だったが、同時並行で関連報道のフォローにも相応の時間を割くことになった。ここ数十年のトルコ現代史上の出来事は真相が明らかになっていないことも多く、今月の出来事も根深い対立構造を有し、トルコに存在する問題の核を炙り出すという点では意味のある事件であるように見受けられた。さらに、この事件が起きた直後の頃にトルコの政軍・軍民関係に関する緊張感の漲るセミナーを聴講する機会もあった。
  また、研究上必読の英語文献の新刊を入手する必要があったが、初版発行部数が抑えられたのか、トルコ語以外の書籍の取り扱いのある書店でも注文すら受け付けされない状況となり、最終的には日本のアマゾン経由で入手した。近年トルコ語文献も数年前に出版されたものは古書ですら入手困難となるケースが多いという感触が若干ある。その他、研究関連の事項表を作成しトルコ語の新聞記事を翻訳した。
  生活状況については特段大きな問題もなく過ごした。透明な光が木々の緑に照り返り海の青みがぐっと深まる6月のトルコは、至るところ眼福の季節ではあった。

Kokaki6-1.JPG  
日本の海上自衛隊の艦艇がイスタンブルに寄港していた。日が暮れるとマストの先から船縁に向かってライトアップされ、三角の船形が群青の闇に浮かびあがった。時折各国の軍艦が停泊しているのを見かけるが、日常とは違和のある光景からはトルコに存在する強烈な隔たりという観念が想起された。

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