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2009年1月 月次レポート(中島久朱 イギリス)

ITP月次レポート(20091)

地域文化研究科

博士後期課程

中島 久朱

派遣地:ロンドン(SOAS

 

 3週間程の冬休みを終えて1月の第2週から2学期が始まり、再び大学にも活気が戻ってきた。SOASでは大学主催のものから学生主催のものまで、ほぼ毎日のようにセミナーやコンサート等、多種多様なイベントが行われているが、今月は昨年末から始まったイスラエルのガザ侵攻に対する抗議イベント等も学生団体主体で開催されており、国際情勢、政治等への関心の高さもうかがえる。

 昨年から参加している博士課程のゼミでは、毎回色々な分野の学生の発表を聞きディスカッションに参加することができ非常に良い刺激を受けている。受講者はSOASの学生に限らず、ロンドン大学の他のカレッジの博士課程の学生や、私のように海外の大学院に在籍し研究のためにロンドンに滞在している学生等も広く受け入れられており毎回参加者も入れ替るため、多様な意見を聞くことができる。今月はヨーロッパのイスラム・コミュニティに関する発表とバングラディシュの政治と宗教に関する発表があったが、とくに前者は私自身の研究にも通じる部分があり、学ぶところが大きかった。担当教員のメンスキ教授は過去に客員研究員として東京外国語大学にいらしたこともあり、折に触れて日本の状況も交えた比較的な視点からの示唆をいただくことも多く、大変勉強になっている。また、受け入れ担当教員であるガーストル教授にもお目にかかり、調査の進捗状況をご報告した。

 自身の研究・調査に関しては、昨年より訪問していた小学校で数名の保護者と子どもへのインタヴューをする時間を設けていただき、聞き取り調査を開始した。その際、事前にインタヴューの場をセッティングしてくださった先生より、子どもへのインタヴューは英語で問題がないが、保護者は英語でのインタヴューは難しいかもしれないと聞いていたため、上記のゼミで知り合ったトルコからの留学生に通訳を依頼し参加してもらった。私自身が調査対象グループの母語が話せないことが本調査を開始する時点での懸念であったが、通訳を引き受けてくれた学生がクルド系の背景ももっておりトルコ語だけでなくクルド語も話せたことから、インタヴューイーとも容易に打ち解けることができ、期待した以上に深い話を聞くことができたように思う。また、クルド人コミュニティの補習校では、授業観察の他、補習校運営に携わるスタッフへのインタヴューを行った。自身もイギリスの学校で教育を受けた経験をもつ移民第一世代のスタッフの話は非常に興味深い。

 生活面では冬休み明けから風邪を引き新学期早々寝込んでしまったことが悔やまれる。ロンドンでもインフルエンザが流行っていたようで、幸いにも私はインフルエンザではなかったが、改めて体調管理の大切さを実感した。今回のITP派遣も残り1ヶ月となり、最後に悔いを残すことないよう、気を引き締めて取り組みたいと思う。

 

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