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2009年1月 月次レポート(幸加木文 トルコ)

ITP-TUFSレポート 2009年1月
                                                                                                         幸加木 文

 まず、派遣先機関における指導教員との連携・連絡状況として、イスタンブル・ビルギ大学欧州連合研究所所長のアイハン・カヤ准教授と、今後の研究指導に関する打ち合わせを行った。
次に、研究の進捗状況として、先月に引き続き収録した音声データの日本語による文字起こしとその英語・トルコ語化作業を進めた。また、研究関連団体の主催する講演会を聴講し、スピーカーの教授に個別面談の申し込みをした。後日研究室を訪問し、自己の研究にとって有意義な示唆を受けるとともに、厳しい叱咤激励を頂いた。さらに、今後訪問予定の団体・個人の調査に向けた準備を行った。研究に関する資料収集とその読解作業を継続しつつ、本年8月に参加予定の国際ワークショップに向けた発表トピックに関する準備とオーガナイザーの先生への連絡を行った。その他、トルコ語の新聞記事翻訳を行った。
 生活状況については、新たに購入することになった自宅のガス暖房機器の室内設置工事に伴う雑事により、都合1週間拘束された。最高気温12~13度と比較的暖かい日が続いていた点は幸いであった。
 その他、今月観察したイスタンブルの社会状況などを写真とともに若干報告する。

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昨年11月のレポートで報告したスープの無料配布車が、「選挙対策車」に模様替えされていた。本年3月末に行われる地方選挙を睨み、各自治体の首長による成果と実績を強調する広告が至る所で展開されている。看板には「控え目に申し上げますが、ここで毎朝3千人とともにスープを飲んでいます。あなたもお待ちしています」とある。

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上述の講演会にて、イスラーム暦1月(ムハッラム月)のアシューレ(アーシュラー)にちなむ伝統的な菓子を頂いた。ノアの箱舟と思しき絵が描かれたカードには「アナトリアにおけるイスラーム理解の重要な伝統の一つであるアシューレの菓子を、幸福、健康、恵み多き1年を祈念して供します」とある。尚、このお菓子は味も触感も独特で、口にした印象を形容するのは難しい。

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金曜礼拝後のイスタンブル旧市街・ベヤズィットにて、ガザに大規模攻撃を続けるイスラエルに対する抗議のシュプレヒコールをあげる人々。ムスリムとして連帯の意思を表明するためカフィーヤ(白黒の格子縞のスカーフ)を身につけ、パレスチナの旗やバナーを手にしている人も多い。また、少数ながら女性たちも参加していた。こうした半ば自然発生的な集会の他、専門家や記者を招いての講演会も催されていた。

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暗殺されたアルメニア人新聞記者フラント・ディンクの2周忌であった19日、イスタンブル新市街・シシリの暗殺現場で開かれた追悼集会の模様。「フラントのために、正義のために」と書かれた丸いプラカードが主催者の演説とともに高く掲げられたが、併せて呼びかけられた「苦難にあるパレスチナ人のために」との訴えには、不意を衝かれたかのように鈍い反応だった、というのが個人的な印象である。写真右は、群衆の中で一人、斃れた場所に赤いカーネイションを手向けに来ていた婦人。

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