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2008年12月 月次レポート(中島久朱 イギリス)

ITP月次レポート(200812)

地域文化研究科

博士後期課程

中島 久朱

派遣地:ロンドン(SOAS

 

 12月に入るとロンドンの街はクリスマス一色に染まり、大学の構内でも連日のように学生主催のパーティーやクリスマス・コ―ラス等のイベントが開かれている。一方、授業に関しては一学期の終わりに向けて課題が重なり、学生はとても忙しい時期のようである。図書館も連日遅くまでレポートの作成や調べものをする学生で賑わっているが、学期の授業が最終となる第二週は冬休み中に必要となる資料を確保するために大変混雑している。というのも、12月は第三週の金曜日を最後に大学の施設が全て閉め切られてしまうため、普段は週末でも利用できる図書館も約半月の間一切利用できなくなってしまうためである。出遅れた学生は資料の確保ができず悲しい思いをすることが想像されるが、私自身もそのことに気づくのが遅れたため、借りたいと思った本のうち数冊は確保することができなかった。

 また、指導教員であるガーストル先生は今月半ばより年末まで日本に出張されるということだったので、月の前半に一度お目にかかり研究の進捗について報告した。他の教員も、第二週の授業が終了すると休暇や研究旅行等のため大学にいなくなってしまうようである。

 自身の研究については、今月のはじめよりロンドンの北部にあるクルド人のコミュニティ・センターで毎週末開かれているクルド系児童のための補習校での調査を開始した。同補習校では、英語、科学、数学の主要教科に加え、クルド語のクラスも設けられており、授業を担当するのも全てクルド系の民族的背景をもつ教員である。40名程の子どもが学んでおり、中には1時間以上バスや電車を乗り継いで通うものもいるとのことである。

 今月は、とにかくキリスト教国でクリスマスという行事がどれだけ重要なものであるのかということを身を以て実感した。近年のイギリスの世論調査では自身をキリスト教徒であると考える人の数は減っているというデータが示されており、また、ロンドンはキリスト教以外の宗教背景を持つ住民も非常に多く暮らす街であるという現実はあっても、やはり12月に入ると街中がクリスマスのイルミネーションで彩られ、クリスマス当日にはほとんどの店が営業せず、公共の交通機関も運行を停止してしまう。大学やその他の公共機関も20日を境に休業してしまう為、用事がある場合は月の前半に済ませておかなければならない。日本での生活に慣れていると不便に感じられることもあるが、「異文化」を経験する良い機会となった。

 

    写真はクルド人コミュニティ・センターと近隣の様子

Nakajima12-1.jpg  Nakajima12-2.jpg 

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