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2008年11月 月次レポート(中島久朱 イギリス)

ITP月次レポート(200811)

地域文化研究科

博士後期課程

中島 久朱

派遣地:ロンドン(SOAS

 

 今月はこれまでなかなか始めることのできなかった小学校での調査にやっと取りかかることができた。調査先の小学校はロンドン北部の行政区であるハリンゲイにあるのだが、地下鉄の最寄り駅はSOASの最寄り駅であるラッセル・スクエアも通るピカデリー線で北上したウッド・グリーンという駅である。同地域は地下鉄のゾーン31に位置しており、ラッセル・スクエアからは20分弱の距離にある。学校はウッド・グリーンの駅から徒歩で5〜6分の場所に位置し、周囲はイギリスではよく見られるビクトリア様式の長屋式の住宅に囲まれているが、近隣には大きなショッピング・モールや映画館、公立図書館等もある、街の中心に程近い場所にある。

 その学校に11月の初めに訪問し、校長先生に調査の内容を改めて詳細に説明し協力をお願いした。研究計画と希望する調査の内容に関しては、日本にいる頃から数度にわたるメールの交換をして事前に伝えていたため、話し合いもスムーズに進み、今回調査を行うトルコ系・クルド系児童と保護者へのインタヴューと週に2回の授業見学の許可をいただいた。子どもや保護者の紹介にあたっては、まず保護者への依頼書と承諾書を作成して提出した。しかし、少々困ったのがその段階になってから犯罪歴調査証明書(Criminal Record Bureau check: CRB check)を提出する必要があるという話が出てきたことである。イギリスの法律では、19歳以下の子どもと接する場での就業や活動に従事する場合、犯罪履歴調査を受けることが義務づけられているという話である。以前にも同校では教員への聞き取りを中心とした調査を行っており、その際にも授業の見学等はしていたのだが、これまで証明書の提出を求められたことがなかったため、調査計画書以外には何も準備していなかった。だが、今回はこれまでと比べ長期に渡り、また公式な場を設定して子ども対象の聞き取り調査を行うため、同証明書の提出がなければ認められないということであった。幸いにも、別に緊急の用件がありofiasから特別に許可をいただき月末に数日間帰国したため、証明書もその際に申請を済ませ数週間で入手できる見込だが、改めて調査の事前準備の大切さを実感し、自身の確認不足を反省した。2なお、授業の見学に関しては書類の提出を待たずに認められたため、調査の対象となるトルコ系・クルド系の移民児童を含む英語を母語としない生徒のためのリテラシーの授業(高学年のクラス)での観察を今月の初めから開始した。

 また、今月最終週には、東京外大から指導教員である岡田先生が渡英され、オックスフォード大学のロジャー・グッドマン教授とジェフリー・ウォルフォード教授をご紹介いただいた。さらに、ロンドン大学教育学大学院のアンディ・グリーン教授とも再度面会の機会をいただき、これらの先生方から主に理論的な面で研究に関するコメントをいただいた。岡田先生のロンドンご滞在中には、SOASでの指導教員であるガーストル先生との三者面談の席も設けていただき、研究の進捗状況を報告し、さらに今後の調査の希望に対してアドバイスをいただいた。

 最後に、今月は日本への連絡も含め電話を利用する機会が非常に多かったため、こちらでの電話事情について簡単に触れる。まず、半年から1年の短期留学であれば、ほとんどの学生が固定電話ではなく携帯電話を契約して利用しているものと思われる。携帯電話も、月額契約をするには、各会社の規定により通常1年前後のある程度まとまった期間継続して利用することが求められるが、イギリスではプリペイド式の携帯電話が日本より普及しており簡単に手に入るため、私自身は、今回は6ヶ月のみの滞在であることからプリペイド式の携帯を利用している。しかし、プリペイド式の携帯電話の通話料は月額契約の場合に比べ割高となる。そこで重宝するのがインターネット回線を利用するインターネット通話でおなじみのSkypeである。Skypeにはインターネット回線同士の通話の他にPCから一般回線に電話をかけることのできるスカイプアウトという機能があり、有料ではあるが非常に安い金額で国際通話もできる。さらに、イギリスではThreeという会社が携帯電話に電話でSkypeを利用できるSkype Phoneと呼ばれる機能をもたせたサービスを提供しており、これは最近知ったのだが、同サービスは最低6ヶ月の継続利用で月額契約もできるようである。利用している知人の話では、日本から連絡を受ける場合でも、相手がSkype利用者であれば自分がどこにいても無料で自身のアカウントに連絡を受けることができるので、非常に重宝しているということである。以上、今後イギリスに来られる方は参考にしていただければと思う。

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小学校の音楽会風景                   小学校校門前にて     

 

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ガーストル先生、岡田先生と


1 ロンドンの地下鉄はゾーン制で料金が設定されており、中心から同心円状にゾーン1〜6まで区分されている。料金は乗車距離で加算されるのではなく、一定ゾーン内ならどれだけ乗っても同様の料金で利用できるが、ゾーンをまたぐ毎に料金が加算される仕組みになっている。なお、蛇足かもしれないが、ロンドン市内の地下鉄とバスを利用する際には、Oysterと呼ばれる日本のSuicaPasmoのようなプリペイドカードを利用すると、全路線でその都度チケットを買う場合の半分以下の値段での乗車が可能である。さらにフルタイムの学生であれば、通学区間の割引定期券つきOysterも購入可能なようであるが、今回私は学生ではなく訪問研究員という身分でSOASに在籍しているため通常のOysterのみを使用している。

2 犯罪履歴調査証明書の発行に関しては、日本国内では居住地の警察署で申請することができ、10日程で発行される。ロンドンであれば在英国日本大使館でも申請することが可能であるが、その場合は発行までに2ヶ月間程度必要となるようである。

 

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