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2008年10月 月次レポート(中島久朱 イギリス)

ITP月次レポート(200810)

地域文化研究科

博士後期課程

中島 久朱

派遣地:ロンドン(SOAS

 

 ロンドンでの生活も2ヶ月が経った。その間、SOASでの指導教員であるガーストル先生には、聴講を希望するコースの担当教員を紹介いただいたり、SOASを含めロンドン大学の各機関が開催するセミナーや講演会の情報等をいただいたりとお世話になっている。その他、月に数回面会の時間をいただき、現在の研究の状況ならびに今後の予定等をご報告している。

 研究に関しては、前回のレポートにも書いたように、調査を予定していた小学校で先月末に急遽教育水準査察局(OfSTED)による査察があったのだが、その後、先方の都合により日程の調整がつかず、さらに10月後半には秋期休暇等があったため11月の第一週に調査の開始を持ち越した。そのような事情もあり、10月中は文献調査を主に行った。大学の図書館での検索とは別に、ロンドン大学周辺に多くある古書店には街中の一般書店にはあまり取り扱いがない専門書が多くあるため、時間のあるときには立ち寄るようにしている。

 なお、今月半ばにOfSTEDがまとめた小学校査察の結果報告書を校長先生に送っていただき、現在の同校に対する外部からの評価を事前に見ることができたことは今後の調査の参考となった。また、来月の初めには小学校での調査と並行して、同校が所在する地域の近隣に位置するエスニック・コミュニティでも調査を開始する予定である。

 さらに、SOASをはじめロンドン大学の各カレッジで頻繁に開催されているセミナー等にもできるだけ出席し、関連分野の研究者に話をうかがう機会も何度か得た。先日は、東京外大の指導教員である岡田昭人先生のご紹介により、ロンドン大学教育学大学院のアンディ・グリーン教授に面会し、研究内容に関するコメントとアドバイスをいただいた。

 SOASでは、イギリスの宗教コミュニティと市民社会を取り扱う科目とエスニック・マイノリティ関連法を取り扱う科目を聴講している。双方とも大学院のコースで、基本的には各科目で週に3時間の授業(2時間の講義と1時間のセミナー)が1セットになっている。毎週10冊〜20冊程度の参考文献があげられたリストが学期のはじめに配られ、それにもとづき授業が進められていく。宗教コミュニティ関連の科目は通年の科目で、一学期には二学期に予定されているフィールド調査の分析に必要となる基礎的な理論について学んでいる。現在のイギリスでは、エスニック・マイノリティ問題を宗教問題と切り離して考えることは非常に困難であるため、基礎的な理論について学べる同コースは大変ありがたいものである。また、マイノリティ関連法のコースでは、主に1900年代以降のイギリスの移民受け入れ政策とエスニック・マイノリティ関連の法整備に関し、事例と理論を両方織り交ぜながら体系的に学ぶことができ、こちらも自身の研究を進める上で非常に参考になる。なお、2週間前から同コースの担当教員の博士課程の学生のためのセミナーにも参加させていただいているが、そちらでは世界各国から集まった研究者との交流の機会を得ることができ、大変な刺激となっている。

 その他、日常生活に関しては、先にも述べたように2ヶ月が過ぎて現地での生活にも慣れてきた。大学までは徒歩で通学できるので地下鉄やバスの遅延の影響も受けることがない。ロンドンではバスには時刻表がなく、20分以上待たされて2台同時に来るということもさほど珍しいことではないし、地下鉄も時刻表はあまり信用できない。そのため、大学から歩いて通える距離にあるフラットを選択したのは正解だったように感じる。街の中心にも近いため日常品の買い物等にも不便を感じることはあまりない。

 しかし、ロンドンの天候には未だ驚かされることもある。今年は夏もあまり暑くならなかったようだが、今月半ばを過ぎた頃からは特に寒い日が続いており、つい数日前にはまだ10月だというのに雪が降った。これはイギリスでも珍しいことのようであるが、最近身の回りに風邪を引いている人も多く、これからの季節は特に注意したい。

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