BLM連続セミナースピンオフイベント 第1回「ヘイトスピーチ規制と表現の自由」

近年、日本でも、法や条例、一連の判例等により過激なヘイトスピーチに歯止めをかける動きが見られるものの、インターネットや選挙運動におけるヘイトスピーチの問題など、依然として問題は山積している。本セミナーでは、憲法・国際人権法の最新の知見を援用し、今後のありうる施策等について展望を示す。

講演者/講演タイトル

奈須祐治(西南学院大学法学部教授)
「ヘイトスピーチと表現の自由 ― 憲法的考察」
専門は憲法学。これまでヘイトスピーチを中心とする有害言論の規制を研究してきた。主著として、アメリカ・カナダ・イギリス・日本のヘイトスピーチの法規制を比較し、日本のあるべき規制を探求した奈須祐治『ヘイト・スピーチ法の比較研究』(信山社、2019)、日本のヘイトスピーチ規制の歴史と現状を海外に発信することを目的として書かれたShinji Higaki & Yuji Nasu eds., Hate Speech in Japan: The Possibility of a Non-Regulatory Approach (Cambridge University Press 2021)がある。

コメンテータ:
萩原優理奈(東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程)
専門は国際人権法。日本におけるヘイトスピーチ規制のあるべき姿を探るべく、国際人権法における規制の枠組み及び諸外国の規制状況について研究を進めている。2020年には、近年の国連の動きについて、「国連のヘイトスピーチへの取り組みにおけるラバト行動計画と国連戦略・行動計画の意義」(国際連合学会誌『国連研究』第21号、2020年)を執筆した。

司会:
松隈潤 
東京外国語大学副学長(国際・人事等担当)、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授(国際法)https://www.tufs.ac.jp/research/researcher/people/matsukuma_jun.html

日時

2021年11月16日(火)16:00~17:30

プログラム

1.開会(0:00) 
2.講演「ヘイトスピーチと表現の自由~憲法的考察」 奈須祐治先生(4:10)
3.コメント 萩原優理奈(1:02:17)
4.質疑応答(1:15:44)
5.閉会(1:30:10)

備考

  • Zoomでのオンライン開催
  • 使用言語:日本語
  • 参加費:無料

主催

東京外国語大学多文化共生研究創生WG

参考文献

  • 師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』(岩波書店、2013)
  • 角南圭祐『ヘイトスピーチと対抗報道』(集英社、2021)
  • 安田浩一『ネットと愛国』(講談社、2015)
  • エリック・ブライシュ『ヘイトスピーチー表現の自由はどこまで認められるか』(明石書店、2014)
  • 金竜介他編『在日コリアン弁護士から見た日本社会のヘイトスピーチー差別の歴史からネット被害・大量懲戒請求まで』(明石書店、2019)
  • ジェレミー・ウォルドロン『ヘイト・スピーチという危害』(みすず書房、2015)
  • 金尚均編『ヘイト・スピーチの法的研究』(法律文化社、2014)
  • 法学セミナー編集部編『ヘイトスピーチとは何かー民族差別被害の救済』(法律文化社、2019)
  • 法学セミナー編集部編『ヘイトスピーチに立ち向かうー差別のない社会へ』(法律文化社、2019)
  • 桧垣伸次=奈須祐治『ヘイトスピーチ規制の最前線と法理の考察』(法律文化社、2021)
  • 桧垣伸次『ヘイト・スピーチ規制の憲法学的考察ー表現の自由のジレンマ』(法律文化社、2017)
  • 奈須祐治『ヘイト・スピーチ法の比較研究』(信山社、2019)
  • 樋口直人『日本型排外主義ー在特会・外国人参政権・東アジア地政学』(名古屋大学出版会、2014)
  • 高史明『レイシズムを解剖する』(勁草書房、2015)

参加者の声

  • ヘイトスピーチと表現の自由をいかに両立するかという難しい問題点を、事例と共に分かりやすく解説していただき勉強になりました。
  • ヘイトスピーチの法的規制について豊富な実例とともにお話頂き、大変勉強になりました。表現の自由の観点から考えると、規制や罰則を科すことにも慎重な検討が必要であるため、社会的マイノリティなど幅広い層からの意見を汲み取りながら議論を進めることが、今後さらに求められるのだろうと感じました。
  • ヘイトスピーチの問題について、憲法の観点と国際法の観点、両方から見ることができとても幅が広がりました。不特定型のヘイトスピーチに対する規制対応などについてこれからどのように動いていくのか興味を持って情報を追いたいと思います。この度はありがとうございました。

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