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言語・情報コース

2017年度

山本 真司 (YAMAMOTO, Shinji)

卒論指導可能分野

イタリア語学

ゼミ紹介

私の担当しているのは、いわゆる「イタリア語学」と付き合うことを学ぶためのゼミです。
イタリア人は、 19世紀に至るまで、国民国家のような強固な政治的・社会的まとまりを持つことがありませんでした。そのため、文化的つながりの象徴として、イタリア語のイデオロギー的価値は、非常に大きなものがありました。
その反面、イタリア語が、本当の意味での大衆的なコミュニケーションの道具となったのは、ようやく 20世紀も後半になってからに過ぎません。このような歴史を反映した、各地域特有の言語現実 -方言、地方語、少数言語など -を無視しては、イタリア人の言語生活を正しく捕らえることはできないでしょう。
このような状況を踏まえて、伝統的なイタリア語学研究を俯瞰してみると、その主な柱は次の3つにまとめられると思います。当然、私のゼミの内容も、このような内容を反映したものとなります。

・イタリア語とイタリア文化のさまざまな側面との関係の研究
・地域的な言語現実の研究
・イタリア語そのものの構造の研究 (いわゆる発音、文法、語彙など )

ところで、この列挙の順序、何となく変だと思いませんか。順序が逆ではないのか、どんな語学でも、言語そのものの研究が先にあって、それから言語外の現実との関連へと話が及ぶのではないか、と。ごもっとも、私もそう思いたいところです。しかし、日本の、そしてイタリア語が研究されている多くの国の、いわゆるイタリア語研究者と言われる人たちの間では、伝統的に、研究の関心および力点の置き方の順序は、まさにこの通りだったのです。その理由は、ゼミの中でおいおい考えていくことにしましょう。
実際、イタリア研究に関わると、文学、歴史、思想、 etc.と、 (浅くてもいいから )文化一般について広く眼を向けることが要求されていることをひしひしと感じるのに対し、いわゆる「文法研究」が日本のイタリア研究者をあまり魅了してこなかったこが、さまざまな点に現れていることにも気がつきます。私自身、そのような伝統的なイタリア語学研究の枠組みを引きずっていることを痛いほど意識しており、それを、誇り (あるいはユニークさの主張の根拠 )とも、言い訳 (やるべきことは多く、時間がいくらあっても足りない! )ともしてきました。それと同時に、 (日本の )イタリア学が、イタリア語の構造そのものの研究に、当然それに値するだけの時間と労力を費やすようになって欲しい (そしてそのために自分自身でも何らかの貢献をしたい ) とも常に思ってきました。
これは私の問題意識であり、他の人に押し付けるわけにはいかないでしょう。ゼミの指“教員の役目は、あくまでも、学生諸君ひとりひとりが、独自の問題意識を持って「自分 •イタリア語学」を作り上げていく、そのお手伝いをすることですから。にもかかわらず、講義・ゼミに参加する諸君の中から、同じ問題意識を共有できる仲間となれる人たちが出てくれば、私にとって大いなる喜びとなることでしょう。

卒論・卒業研究について

テーマとなりうるのは、狭義でのイタリア語学に関するものに限りません。簡単に言えば、イタリア語と何らかの文化的関連があれば何でもテーマになりえます。むしろ、既にお分かりと思いますが、これまでも日本のイタリア研究では、イタリア語の構造・用法そのものの研究よりも、イタリア語の文化に関する研究のほうが主流でした。
言語と文化は、往々にして、意外な所で繋がっているものです。いや、言語が人間の文化を成り立たせている大前提であれば、そのような繋がりは当然とさえ言えるでしょう。「こんなものテーマになるはずがない」と決めつける前に、一度話を聞かせてください。一緒に考えて見ましょう。
それから、言語そのものの研究に取り組みたいと思っている皆さんへ。様々な言語理論を学ぶことは当然必要です。しかし、研究の出発点は、イタリア語で書かれた文章をきちんと読み、分からないところを -何となく看過するのではなく -分からないことと認識する能力を養うことです。そのような「修行」を積み重ねるうちに、一見ごく平凡な事実にしか見えない現象の中にも、言語研究の、ひいてはイタリア文化研究、さらには人間研究にとっての、興味深いテーマを見つけられるようになると思います。

受講上の注意など特定の研究領域に関する専門家であることはそれほど要求しません。私の授業の出席者も、イタリア語学を地域言語とする人より、他のゼミの学生のほうが多いぐらいですから (私も、特に両者を区別はしません -学部の教育においては、狭く1つの分野の専門に閉じこもってしまうよりは、広くイタリア研究一般に関心を開かせることが重要だと思いますから、そのような指導を心がけたいと思っています)。その代わり、イタリアと関連があるものには、何でも、無関心なまま看過することは許されないと思ってください。新しいことを積極的に学ぶ意欲と、地道な努力(特にイタリア語の勉強)を惜しまない覚悟とを、常に忘れないように!
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last updated on: 2015-06-30