国際社会学部

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学部長メッセージ

国際社会学部長

吉田 ゆり子

国際社会学部へようこそ

2015年4月、東京外国語大学に国際社会学部が誕生して4年目を迎えます。ここで、学部長を引き継ぐことになり、改めて本学の国際社会学部がどのような人材を育ててゆく学部であるのか、その目指す目標と教育の特徴を、皆さんにお伝えしたいと思います。

東京外国語大学の国際社会学部は、2つの柱を持っています。第一の柱は多言語と地域の教育、第二の柱は人文・社会科学研究です。

まず、第一の柱から説明しましょう。東京外国語大学では、世界諸地域で話されている言語の内、27言語とその言語が使用されている14の地域を教育の単位としています。皆さんが入学時に選択した言語と地域が、第一の柱の教育単位となります。たとえば、東南アジア第一地域でマレーシア語を選択して入学した場合を考えましょう。その場合、マレーシア語を読み・書き・話せるように1・2年生の間で訓練を受ける一方、マレーシアについて地理・歴史・政治・文化、そして人々の暮らしとものの考え方・価値観を学びます。あわせて、マレーシアという国の括りを取り払い、東南アジア地域を広く見渡して、その地域の特徴や歴史を学びます。こうした言語の運用能力と地域の知識を身につけることが、東京外国語大学で学ぶ大きな収穫の一つとなります。

その上で、第二の柱である学問領域の専門性を身につけます。これは、政治学・経済学・法学・歴史学・社会学・文化人類学・哲学など、社会科学の基礎的学問領域を踏まえた専門研究を学びます。とくに、国際的な視野からこれらの学問領域を学び、国際社会で実践的に役立つ勉強をすることができます。たとえば、鉄道が好きで、アジア各地で敷設計画が進む高速鉄道に興味をもっているとしましょう。日本やドイツ、フランス、中国など、新幹線の技術をもって受注の獲得に動いています。では、東南アジアではどのような場所に高速鉄道を敷設する計画となっているのでしょうか。また、なぜそのような計画となっているのでしょうか。その政治的・経済的背景、国際的な視点から経済協力の実現について学びます。ただ、東京外語大学で学ぶ皆さんは、とくに現地に暮らす人々の歴史や価値観を身につけていますから、政治や経済の側面ばかりからではなく、現地の人々がこの高速鉄道敷設についてどのように考えているかにも目を止めることになるでしょう。経済効率や生活の便利さを求めて開発が進む一方で、もしかすると高速鉄道が通過してしまう地域の人々にメリットがあるのか、線路の敷設や観光地開発で土地を失う人々、生活の様式が一変してしまう人々もいるかもしれない、等々、地域の人々の視点からも考える必要のあることが見えてくるかもしれません。日本に暮らす私たちが、現地の人々の視点に立ち、ともに国際社会に生きるために、どのようなことができるのか、またする必要があるのか、考えることのできる人になっていただきたいのです。

このように、東京外国語大学の国際社会学部は、一般的な国際的な政治・経済・法学を学ぶところではなく、皆さんが具体的に身につけた言語と地域の人々の暮らしに密着して、国際社会の現実を学び、国際社会に貢献し活躍するための勉強をするところです。この言語と地域に密着している点が、大きな力となり、皆さんの将来の仕事と人生に役立つことを確信しています。

なお、東京外国語大学に入学された皆さんは、当然、高度な英語力をもっています。この英語力を落とさないで、さらに運用能力を高めるために、1年生から4年生まで、グローバル人材育成言語教育プログラム(GLIP)が用意されています。また、授業以外にも自立的に英語を学習できるように、英語学習支援センター(ELC)もあります。そして、何より自分の目で海外の現地社会を見て体験しながら言語を学ぶために、夏学期や冬学期を利用した短期海外留学や、在学期間4年間の内の1年を使って世界各国に所在する協定校への派遣留学制度を利用することをお勧めします。ぜひ、日本の外に出て日本を見る経験をし、国際的な視野を持つ人材に育っていただきたいと祈念しています。

その時、留意していただきたいのが、海外に行くと自分がいかに日本のことを知らないかに気付くということです。東京外国語大学なのだから、「外国」のことを学べばいいと思われるかもしれませんが、実は国際社会に出てゆくためには、日本のことを十分に知り、理解していることがとても重要です。日本がどのようにして今日の姿になったのか、日本の生活習慣やものの考え方がどのように形成されてきたのか、現代の日本を歴史的に語ることは、高校の時に暗記した年表ではとうてい叶いません。東京外国語大学では、日本に関する知識と教養を身につけるための授業が、意外かもしれませんが、多く用意されています。ぜひ、新たな日本を発見し、世界に発信してください。

東京外国語大学での4年間が、皆さんの人生にとって充実し満足のできるものとなるよう、大学での学習と生活を支援していきたいと思っています。

2017年度学部長メッセージ(動画)