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「中国少数民族教育に関する考察  ―延辺地区の事例を中心に―」  張延紅

研 究

  近年、先進諸国を始め世界各国で民族や言語、文化などの相違に起因する教育問題が様々な形で噴出し、教育のあり方が問われてきている。

  中国では、1949年の中華人民共和国成立以後、一貫して積極的に少数民族教育政策を取り入れ、少数民族優遇政策を実施してきたと言われてきている。現在、中国では、少数民族に関する研究や論文などが数多く発表され、少数民族に対する教育・研究が非常に盛んに実施されている。ただ、素晴らしさが喧伝されている中国の少数民族政策であるが、その実態には正確な光があてられていない。このような問題意識を持って、修士論文では延辺朝鮮族自治州の事例を取り上げ、中国の少数民族教育に見られる様々な問題点を検討した。

  修士論文では、延辺地区における少数民族教育、なかでも女子教育を事例として取り上げ、学校文化に注目する事を通じて以下のことを明らかにする事ができた。アンケート調査では、生徒達の意識に潜む性差の現状と実際行われている学校文化を把握し、これまでの民族教育の成果を強調する議論では不明確だった問題点を明瞭にすることを目的とした。聞き取り調査においては、「民族教育」を受けてきた人々による「語り」を通じてこれまでの「民族教育」の変遷を明らかにした。

  以上の検証を通じ、中国・延辺地区における「民族教育」には、ジェンダーの視点からまだ改善の余地があることが明らかになった。今回の調査では、以上の研究結果を元に、中国の少数民族教育政策の特色ともいえる「双語教学」(二言語教育)を受けている少数民族の人々へのインタビューを中心に行った。

  詳しくは学術調査報告書(PDF)をご覧ください。


報告者

  1. 名前:  張延紅
  2. 研究テーマ:  中国少数民族教育に関する考察  ―延辺地区の事例を中心に―
  3. 渡航先:  中国 吉林省 延吉市
  4. 旅行期間:  平成19年12月25日~平成20年1月16日(22日間)
  5. 調査旅行の概要:  調査では、主に文献資料の収集と、中国少数民族である朝鮮族への聞き取り調査を行った。朝鮮族への聞き取り調査のほか、被調査者の生活行事等に参加し、民族教育やマイノリティ教育の浸透状況および影響を検討した。また、ライフストーリーを記録する手法で中国少数民族教育の中の「二言語」教育の在り方について検討し、問題点を明らかにした。
  6. 学術調査報告書(PDF


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