アラブ世界における民主化と紛争管理

アムル・ハムザーウィ(カーネギー国際平和基金、シニアアソシエイト)

中東にとってこの数年は動乱の時期だった。だが、民主化や法の支配という点では明らかな改善も見られた。確かに、レバノン、イラク、パレスチナなどはこうした動きに加わらなかったが、中東のかなりの地域で新たな兆しが高まったのも事実である。

アラブでは民主主義という考え方が公に論じられるようになり、独裁的な支配者層は改革派の言葉や政策を受け入れざるをえなくなった。何よりも重要なのは、この20年間でアラブの支配者層が表現の自由に対する制限を大きく緩和したことである。他方、イスラム教徒や急進左翼による反対運動は、緩やかな民主改革への戦略的コミットメントを形成しはじめた。

この地域では民主主義に対する皮肉な考え方があらためて頭をもたげているが、その多くは中東一問題の多い国々、すなわち弱小国家、衰退国家、不完全国家(これは一国に当てはまる)のレバノン、イラク、パレスチナをお手本だと勘違いしているせいである。実際、これら特殊なケースが民主化を担おうとする人々にとって最も困難な課題を投げかけている。

国家機関を強化しながら民主主義を育むのは、どんな状況であれ難しい。未解決の国際紛争のただなかでは、それは不可能に近いだろう。 したがって、アラブ世界における改革の主流派とこうした問題ある異端児とを冷静に区別することが、この地域の現在の民主的状況をさらに確かなものにするうえで有効なのは明らかである。