「市民による紛争予防 ~GPPACから9条世界会議へ」

川崎哲(ピースボート)

 2001年の国連事務総長の報告書をきっかけに発足した世界的紛争予防NGOネットワーク「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)」は、今日まで、東北アジア地域レベルおよび国際レベルの双方で活動を展開してきた。東北アジア地域レベルでは、同地域に残る冷戦構造を解体し、現在の核軍拡競争を転換して、ヨーロッパにみられるような「地域平和メカニズム」を確立することを提唱した。

 国際レベルでは、平和構築委員会への市民による関与や、平和的手段による紛争予防の主流化を国連や国際社会に提言した。

 GPPACは、日本国憲法9条の意味を国際的文脈で評価し、9条を世界的な紛争予防に活用しようという発想を生みだした。そこから、「グローバル9条キャンペーン」が開始され、今年5月の「9条世界会議」へと発展している。

 「紛争予防」「人間の安全保障」そして「保護する責任」といった概念が世界的に注目されている。そうしたなか、9条を世界化する市民運動は、軍事力に依存した紛争管理論とは一線を画し、市民主体による平和的な紛争予防の方法論を切り開くものである。