「国際的発展においての人間保障」

ノーマン・クック(名古屋大学大学院国際開発研究科)

本プレゼンテーションでは9-11後の国際社会を検証する。9-11以降、すでに衰退した国家における安全保障プログラムの見直しが突如として進み、それまで貧困削減やガバナンスへの効果的アプローチなどを重点課題として掲げていた開発協力の分野が様変わりした。多くの局面をもち、統合的で、個々および集団的権利と国家や支配政党の利権がバランスよく調整された人間の安全保障を確立、施行することに失敗した先進国・発展途上国およびそれらの代理を務める多くの国際機関や非政府機構により、地域的・準地域的紛争が悪化、長期化した。現在、このように安全保障に先導される形でのODAがどんどん消費され、主要拠出国による現行のプログラムがこの傾向はますます強化してしまっているといえるだろう。そして結局のところ、国家の安全、個々および集団の安全保障、さらには長期的開発といった問題に統合的に対処できていないことが露呈する。