言語教育学ワークショップ



KK KanjiKreativ(e-Learning)で欧州脳を「漢字圏化」する
 -1945常用漢字を脳内に刻印(「意味・形」のみ)」から始まる日本語授業は、なにを齎すか?-
  講 師:
日 時: 場 所: 参加費:
山田ボヒネック頼子(ベルリン自由大学準教授)
2007年2月16日(金)17時~20時まで(3時間)
東京外国語大学研究講義棟 語学研究所(419)
無料 (どなたでもご参加いただけます。)
     
概要:
  本「講演・討論会」では、「KK採択JaFIX式日本語教育」について、以下の3点を中心に講演者・フロアー間との『脳嵐」(Brain-Storming)が企画されています。奮ってご参加ください。

  1) KK呈示: 講演者(+Graphic Designer+Programmer)が開発した漢文字学習プログラム。アニメでまず「280原子(1945漢文字から抽出)」を視覚的に学習。次段階で、1945漢文字を増分法的」に習う。短期間・集中的に学習者の脳を「漢字圏化」するのが目的。学習者は、日本語正書法に必要な漢文字を『交通標識』(音読も書きも不必要)のようにまず「頭に入れる」。

  2) KK漢文字教育から正書法による「語彙教育」へ: 「視覚的意味情報としての漢文字」の習得は、学習初段階から「日本語構文原則」への洞察を可能にし、ひいては日本語学習を加速化する。なぜならKKは、漢字かな混じり文(正書法)で表記される「生教材テクスト」の読解授業活動を、かな学習終了直後に可能にするからである。

  3) KK採択JaFIX式日本語教育: KKは、講演者自身の開発によるJaFIX(Japanese as a Foreign Language with Integrative-Communicative Steps/Japanisch als Fremdsprache mit Integrativ-Kommunikativen Schritten)式日本語授業設計に埋め込まれ、認知心理的発生に沿った第二言語習得プロセスを保証する。即ち、KK基盤に立脚する語彙表現教育は、五感を総動員してのプロソディー活動を通し、「身体感覚としての日本語」の習得を可能にするのである。
     

山田ボヒネック頼子(ベルリン自由大学準教授) ワークショップ講演会
  その1: 非言語コミュニケーション研究と日本語教育
  その2: 非言語コミュニケーション接触場面研究における「学際的分析」アプローチ
  講 師:
日 時:


場 所: 参加費:
山田ボヒネック頼子(ベルリン自由大学準教授)
2007年2月18日(日)
  その1:10時~13時まで(3時間)
  その2:14時~18時まで(4時間)
東京外国語大学研究講義棟 語学研究所(419)
無料 (どなたでもご参加いただけます。)
       
その1概要(午前):
  ヒトの「非言語(nonverbal)コミュニケーション(以下NVC)」領域の解明は、人間行動学からの知見に俟つことが多い。日本語教育界も、言語文化コミュニケーションを専門的に扱う学問分野である以上、言語面だけでなく「非言語面」もその実践研究対象に含める基本姿勢がより建設的である。しかしこの「非言語伝達」事項の多くは、日本社会文化が「三つ子の魂」と総称する「暗黙知」の領域に属しているので、問題の可視化は困難を極める。

  日本語授業者・教育研修者が、しばしば遭遇する事象として「言語的には正しいはずなのに、なぜか違和感がある」という現実の「コミュニケーション接触場面」がある。それらの場合、「説明しきれない部分」が、「暗黙知」に拠ることが多い。この「暗黙知」領域は、まさにその「ことば化の不可能性」ゆえに、従来の学問分野としては比較的「未開地」に属する。しかもその(前)認知現象領域は広大・深遠であり、当該領域の知見を日本語教育内に活かそうとするならば、単なる「書物知識」では事足りない。これら「非言語現象」に関する洞察が欲しければ、「今・ここ」で体験することが効率的である。

 従って、本「講演・ワークショップ」では、受講者が以下の「(再)認知的軌跡」を辿り、最終的に、ヒトのコミュニケーション状況を「言語・非言語」の両面から把握・分析できる能力を身につけることを目標とする。

  1) NVCゲーム:「NVC体験コース」として、個人、小グループ、全員参加型などの「各種ゲーム」実行し、それぞれ直後の「意識化・内省化・言語化」セッションを通して、NVCの基本領域を「体得」する。

  2) NVC理論-学際的アプローチ:人間行動学、(発生的)文化記号学、認知発達理論、日本語学などの各学問領域の知見を基盤に、日本語教育学に適した「NVCレパートリーに関する」理論構築化を図る。
     
その2概要(午後):
  午前中の「ヒトのNVCレパートリー」の把握・理解・知見を前提条件とし、午後のセッションでは、以下の四段階を中心に「講演・ワークショップ」を行う。受講者は、最終的には、「言語・非言語手段・方策」の両領域を焦点化した「コミュニケーション状況の学際的把握力」を身につける。本講演者は、日本語教育における「接触場面実践研究:学際的アプローチ」を推進してきており、日本語コミュニケーション場面として、午前中持参ビデオによる「日本語接触場面」(代表的には母語者・非母語者のインタラクティブ場面)サンプルを用いる。

  1) 全体活動:「日本語接触場面のビデオ録画の再生」。午前中の「日本語NVCゲーム」採録結果、及び講演者持参分などを含む。

  2) 全体活動:日本語教育学における「NVCを含む学際的分析アプローチ」の理論と実践-オリエンテーション。

  3) 小グループ活動:「学際的アプローチのひな型練成」-実践。
     
全体活動:小グループ成果発表・「知見」総括。
     

言語教育のための学習科学ワークショップ
  講 師:
日 時:



場 所: 参加費:
三宅なほみ(中京大学教授)
2月19日(月)10:00開講 18:00終了予定
2月20日(火)09:00開講 18:00終了予定
2月22日(木)10:00開講 18:00終了予定
 ※21日(水) は開講しません。
東京外国語大学研究講義棟 語学研究所(419)
無料 (どなたでもご参加いただけます。)
   
  ジグソー形式授業という新しい形で、「認知科学」を学ぶとともに、その「学習プロセス」についても研究しようという試みです。 協調的認知活動の促進、協調学習支援といったことにもかかわり、「言語教育(学)」にも関係の深い内容です。貴重な機会ですので、万障お繰り合わせの上、ふるってご参加ください。


三宅なほみ先生のホームページ
http://www.crest.sccs.chukyo-u.ac.jp/


ワークショップの狙い:
  協調的な学習活動を体験しながら、自分自身の実践デザインに協調的な視点を取り入れる方法を検討し、実践的な研究の実施と評価に役立つ視点を提供することを狙いとします。


概要:
  最初の2日間で協調的な認知過程や熟達化について基礎的な考え方を体験的に整理し、専門資料を読み合わせて理解を深めます。3日目にはそれらの知見を使った研究例を元に実践研究案を作るためのポイントを整理し、実際に実践計画案を作って発表し、討論しあって実践的な理解に結びつけることを狙います。

2月19日(月)10:00開講
 第一講 10:00-12:00 導入、スキーマという考え方
  私たちはどんな知識を持っているのか、それをどのように使っているのか、ちょっとした経験からどんなことを学ぶのか、簡単なデモを通して体験し、資料を読み合わせて確認します。

 第二講 13:00-14:30 協調的な認知活動を理解する(1)
  実際にいろいろな問題を一人で解いたり二人で解いたりしてみて、どちらの方がうまく解けるのか、解き方はどんなところが違うのか、まず体験して考えます。それからクラス全体や小グループで話し合って、協調的な認知活動とはどのようなものか考えます。

 第三講 14:45-16:15 協調的な認知活動を理解する(2)
  協調的な認知過程を扱った研究資料を読んで考察します。3つの資料をクラス内で分担して読み合わせます。

 第四講 16:30-18:00 協調的な認知活動を理解する(3)
  読み合わせた資料の内容を一つの理解にまとめます。小グループで話し合って理解を深め、3つの資料から得られる知見を学習に結びつけるとどんなことが言えそうか、クラス全体で討論ながらまとめます。

2月20日(火)9:00開講
 第五講 09:00-10:30 記憶について改めて考える
  覚えやすいとか覚えにくいということは認知的などんな過程を結びついているのか、教養の心理学でやったような記憶実験をもう一度体験して、知識表象(覚えたことが頭の中にどう表現されているか)について考えます。

 第六講 10:45-12:15 知識表象と学習、熟達化
  知識の量や知識の表象と学習との関係について、専門資料を読み合わせて検討します。

 第七講 13:15-14:45 熟達化の過程(1)
  人が熟達する過程についての研究資料を8件、読み合わせて理解を深めます。まず分担した資料を少人数で詳細に理解し、他人に分かりやすくかつ正確に伝えるにはどう説明したらいいかを相談します。

 第八講 14-30-16:00 熟達化の過程(2)
  人が熟達する過程についての研究資料を互いに説明し合い、資料で言われていることの間にはどのような関連性があるのかを議論して、熟達化とはどのような過程かをまとめます。熟達化と学習とはどんな関係にあるのかについても考えていきます

 第九講 16:15-18:15 熟達化の過程(3)
  熟達化を広い意味での学習と捉えたとき、人は日常生活や職場の中でどのように熟達しているかについても考えておく必要があります。現場の熟達化についての資料を読み合わせて、熟達化と学習についての考えを深めます。

2月22日(木)10:00開講
 第十講 10:00-12:00 実践研究のポイントと評価
  2日間のワークショップで考えてきたことを実践計画プランにまとめるための要点を解説します。学習の目標、学習活動、活動の成果の評価の仕方という三つのポイントを解説し、研究例を二つ読み合わせてポイントの使い方を理解します。

 第十一講 13:00-14:30 実践研究案を作る
  小グループに分かれて実践研究案を練り、発表の準備をします。

 第十二講 14:45-16:15 実践研究案を発表する
  小グループごとに作成した実践研究案を発表します。

 第十三講 16:30-18:00 みんなの実践研究案とワークショップそのものを評価する
  三日間で経験したこと、学んだこと、考えたことについて全体で討論しながら、これまでに学習科学分野でどんなことがなされてきているのか、これから考えてゆくべき子とは何か、など受講生の方から自由に質問を出してもらい、一緒に考えます。