自然会話の教材化に向けて
-韓国語母語話者間の初対面会話の語用論的分析を中心に-


東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程 金銀美・鄭榮美 (韓国語)

要 旨

本稿は、『魅力ある大学院教育イニシアティブ「多言語社会に貢献する言語教育学研究者養成」のプログラム』の一環として、韓国語母語話者間の初対面会話自 然会話の教材化のための予備調査である。自然会話の教材化に先駆け、会話の文脈から文型を作り出す(鎌田2003)という考えを念頭に置き、語用論的特徴 の中で挨拶、話題展開、あいづち、オーバーラップの5つの項目に焦点を絞り、調査を行った。

その結果を韓国語の第二言語教育の中でどのように生かすかにつ いて考えるため、各分析項目についてその特徴と機能を分析し、教材化の可能性を検討している。本稿はケーススタディではあるものの、会話の文脈から文法項 目や会話ストラテジーを提示することの必要性や意義が示唆できた。今後の課題としては多様な場面の会話データの収集が必要であると考える。