日本語の初対面会話 
―「挨拶」「話題展開」「あいづち」「オーバーラップ」を中心に―


東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程  木山 幸子 (日本語)

本発表では、日本語の女性同士の初対面会話の印象を形づくっている要素はどのようなものであるかを具体的に検証した後、「挨拶」「話題展開」「あいづち」「オーバーラップ」の現れ方を確かめた。

非言語行動の面では、おじぎが多く、うつむきがちで相手を凝視しないという特徴が観察された。言語的な側面で顕著であったのは、「なんか」「とか」などのヘッジの多用であった。また、ほめられたことを否定したり謙遜したりするなどの社交辞令的なやりとり、「共話」的なスタイルが見られた。これらの要素によって、遠慮がちで、譲り合いながら進められる会話という印象を与えていると考えられる。

「挨拶」については、名乗る際に主語を言わない特徴が見られた。「話題展開」には、明確なマーカーはなかった。「あいづち」は非常に多く、26回現れた。「オーバーラップ」は、小声のあいづちが入ることによるオーバーラップを除外しても、14回認められた。