ロシア語
(英:Russian)


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  1. 文字と音声
    1. 文字

      Русский алфавит (кириллица)

      キリル文字
      ラテン文字への翻字
      キリル文字
      ラテン文字への翻字
      А а
      a
      Р р
      r
      Б б
      b
      С с
      s
      В в
      v
      Т т
      t
      Г г
      g
      У у
      u
      Д д
      d
      Ф ф
      f
      Е е
      je
      Х х
      x (kh)
      Ё ё
      jo
      Ц ц
      c (ts)
      Ж ж
      ž(zh)
      Ч ч
      č (ch)
      З з
      z
      Ш ш
      š (sh)
      И и
      i
      Щ щ
      šč (shch)
      Й й
      j
      Ъ ъ
      К к
      k
      Ы ы
      y
      Л л
      l
      Ь ь
      '
      М м
      m
      Э э
      e
      Н н
      n
      Ю ю
      ju
      О о
      o
      Я я
      ja
      П п
      p


    2. 音声

      (1)母音(アクセントのある音節中): í, ú, ó, é, á

       ロシア語では5つの母音がある。 なお、母音の長短によって意味の区別をすることはない。

      (2)子音: p / p', b / b', m / m', f / f', v / v', t / t', d / d', s / s', z / z', n / n', l / l', š, ž, c, č, r / r', k / k', g / g', x, j
       上の/'/は、/j/や母音の/i/のように舌の中央部を硬口蓋に近づけて発音することを表す。このような音をロシア語では軟音、それ以外の音を硬音といって峻別する。名詞類の変化型の区別などに役立つからである。

      (3)アクセントとイントネーション
       アクセントはストレスアクセントであり、語義の区別に関与する。単語ごとに決まった位置にある。イントネーションは極めて重要な役割を果す。E.A.ブルィズグノーヴァによれば、文のイントネーションは7つの基本型に分類される。


  2. 言語の構造と特徴
    1. 句内の語順
       修飾語―被修飾語がふつうの語順であり、被修飾語―修飾語はまれである。
       数量を表す語‐名詞の語順がふつうで、名詞―個数詞の語順は概数(約~)を表す。

    2. 文の構造
       文の基本的な構造は一応[主部]+[述部]といえる。 ただし、そもそもこの区別のない文、つまり形態上、語と文との区別のない名辞文、 無人称文(非人称文)、普遍人称文、不定人称文などのように主部が形態上現れない文型もある。

      文の種類主部否定辞述部日本語訳
      人称文Я (не) японец.
      японка.
      (男性の場合)私は日本人です(ではありません)。
      (女性の場合)
      名辞文 Весна. 春だ。
      無人称文 なし (Не) холодно. 寒い(寒くない)。
      普遍人称文 なし Тише едешь ― дельше будешь. 急がば回れ(諺)
      不定人称文 なし Тебе звонят. 君に電話ですよ。

    3. 言語の特徴
       名詞類(名詞、数詞、形容詞)や代名詞が主格、生格、与格、対格、造格、前置格の 6つの格変化を行い、動詞が完了体と不完了体のたい体(一般言語学的にはアスペクト)に 二分され、体が時制(過去、現在、未来の時制)の機能に優先することが特徴である。