日本語
言語データ |
ことばの概説
系統
研究者によって、比較言語学的な見地から多様な説がなされてきているが、
今のところ、日本語の系統についての定説はない。
使用地域
日本。かつては、ブラジルやハワイ、あるいは戦前・戦中の旧満州の日本人移住者社会で
日本語が話されていたが、現在では日本の国土以外で日本語の分布地域といえるところは、
ほとんどない。
話者人口
日本語の使用人口は日本の人口とほぼ一致するとみなせるだろう。
平成12年の国勢調査によると、日本の人口は約1億2690万人である。
また、近年、非母語話者に対する日本語教育が盛んになってきており、
文化庁の発表では、学習者人口は国内で約9万5千人、海外で約210万人になるという。
方言
日本語の方言は、まず本土方言と琉球方言に分けられることが多く、本土方言はさらに、
本州東部方言、本州西部方言、九州方言に分けられ、それぞれ細分されうる。
以下の記述はいずれも、いわゆる標準語についてのものである。
音韻・文字
- 音韻
(1)音素
母音音素は/i、 e、 a、 o、 u/の5つがある。また、「おじさん」―「おじいさん」のように、母音の長短が意味の弁別に関わっている。
子音音素は/p、 b、 t、 d、 k、 g、 c、 s、 z、 h、 m、 n、 r、 w、 j/、さらに、特殊な音素として、/N/(撥音「ン」)、/q/(促音「ッ」)が立てられる。
(2)音節構造
ほとんどの音節が、0または1個の子音音素と1個の母音音素からなる開音節
V、CV(「ア」、「ダ」)である。他には、特殊な開音節として拗音節CjV(「キャ」)があり、
また、閉音節構造のものとしては、撥音節VN、CVN、CjVN(「オン」、「カン」、「キャン」)、
促音節Vq、CVq、CjVq(「アッ」、「サッ」、「キュッ」)がある。
(3)モーラ
音韻的な性質を考える際に、「モーラ(拍)」という音数律的な単位で捉えることがある。
モーラは概略、仮名1文字を発音する長さに相当する単位である
(拗音「キャ」などは、これで1モーラ)。
短歌や俳句、標語、言葉遊びで長さを数えたりする場合などは、
この「モーラ」を単位としている。
(4)アクセント
単語内の音節相互間の相対的な高低による。
個々の単語のアクセントは、起伏型アクセント(「で’んき(電気)」「かわい’い」など)、
平板型アクセント(「つくえ(机)」「はいたつ(配達)」など)のいずれかである。
- 文字
ごく普通には、漢字、仮名、さらにローマ字、アラビア数字などが混用される。
漢語は漢字で、外来語や擬声・擬態語の一部は片仮名で書くことが多く、
また、縦書きではアラビア数字は用いない、といった傾向はあるものの、
使い分けが明確に定まっているわけではない。
文法
形態的なタイプとして、日本語は膠着的な言語とされる。「患者さんたちからさえもね」「食べさせられたくなかったらしいわよ」のように、名詞、動詞のあとに種々の概念を表す要素を順に続けることができ、しかもその切れ目は比較的明瞭である。いくつかの要素が続く場合、
その順序はおおむね決まっており、特に動詞述語については、論理的な関係・客観的な事実を描く要素がより動詞に近く前の方に現れ、話し手の判断・態度、聞き手へのはたらきかけなどを表す要素がより後ろに現れる。
構文的な特徴として、日本語は語順が自由だといわれる。確かに、例えば「二人でのんびり九州を旅行する」と「九州をのんびり二人で旅行する」は、それぞれ同じ事実を表している。しかし、「静かな公園」「ゆっくり走る」は、「公園静かな」「走るゆっくり」ということはできない。日本語の語順は、一定の範囲で柔軟だということであろう。
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