ラーズィー大学ペルシア語講座 2009
二年 塩尻菜穂子
2009年3月1日から14日の期間、日本人向けのペルシア語講座が、イラン西部の都市ケルマーンシャーのラーズィー大学で開かれ、東京外国語大学ペルシア学課学生として参加いたしましたので、ここに報告します。
場所:(去年と同様)イラン、ケルマーンシャー、ラーズィー大学
(中心地区から車で20分ほどのところ)
宿泊場所:大学構内のメフマーンサーラーという滞在者専用の宿舎
費用:300USドル(講義代150ドル・宿泊費150ドル)
内容:ペルシア語を母語としない人の為のペルシア語講座
今回は、東京外国語大学より3名、中央大学より2名、ケルマンシャー在住のイラク国籍の2名が参加しました。
講師の教授方と授業内容:
آقای دکتر حسرتیハスラティー教授…新聞を読む(イランのجام جام新聞)授業と動きのある絵を見て説明能力をつける授業
آقای دکتر قیطوریゲイトゥーリー教授…イランの慣用句を通して、イラン人固有な対象への概念を学ぶ授業
آقای دکتر حبیبیハビービー教授…ペルシア語にされた日本の詩とイランの詩を読み、その背景を探る授業
آقای دکتر غلامعلی زادهゴラームアリーザーデ教授…ペルシア語のテキストを利用した文法と表現の授業、去年と同様、使用したテキストは
آموزش زبان فارسی(آزفا)، کتاب سوم، دورۀ متوسطه، شمار ردیف3، دکتر یدالله ثمره
ادارۀ کل روابط و همکاریهای بین الملل وزارت فرهنگ و ارشاد اسلامی، 1367 هـ. شـ.
Yadollah Samareh. Persian Language Teaching, Book 3, Intermediate course, series 3
International Relations Department of Ministry of Islamic Culture and Guidance, 1989
授業時間設定としては、2時間内の1時間半が授業、残りの30分が休憩、質問時間でした。
1限は8時から9時半、2限は10時から11時半、3限13時から15時半、4限15時から16時半、5限17時から18時半。 そのうち1日約4コマ入っていました。
気候:
都市部のテヘランとは異なり、ケルマンシャーは気温が低く、朝晩は特に冷え込み、みぞれ交じりの雪が降っていました。しかし雨や雪の為に乾燥も激しくなく、衣服を着込んでしまえば比較的過ごしやすい気候であったとおもいます。
観光:
授業が早く終わった日と休日には観光につれて行ってもらいました。
車で送迎してもらい、ダレイオス1世にまつわる碑文で有名な遺跡ビーソトゥーンや、サーサーン朝期の遺跡ターゲボスターン、旧バーザール、新バーザール、ダルヤーチェィェニールーファル(辺りに蓮の花の咲く小さな湖・ そこでピクニックをしました)、テキエ(古く受難劇を行った場所であり、今は博物館になっている)へ行きました。
最終日前日の午後は級友であるイラク国籍の方の自宅にみんなで行きました。
食事:
前述したようにメフマーンサーラーという大学敷地内で生活していたのですが、朝昼はそこで配給されるものを食堂で食べました。(朝はナーン、ジャム、チーズ、ヨーグルト、牛乳など)(昼は日によって異なりキャバーブ料理が一番多く出されました。)
昼食時の食堂には学校関連の職員方も食べに来ましたが、男女で食べるところは異なり、女性は仕切りがされていて中があまり見えない奥の方で食事をしていました。(我々は異国人ということで男女ともに女性方のほうで食事をしました。)
授業の合間には、チャーイ(紅茶)とヌネベレンジー(ケルマンシャーで有名な米粉サフランクッキー)や他のシーリーニー(お菓子のようなもの)が毎回提供されました。
夕食は学食ではなく毎回市内のレストランに連れて行ってもらい食事をしました。
キャバーブはもちろんのこと、何種類ものスープやホレシュ、ピッッツァー、サンドヴィーチ(サンドゥィッチに酷似したもの)、ドューグ(ミント入りの酸っぱい牛乳)、マースト(玉ねぎ入りのヨーグルト)、サラダ、ニューシャーベ(炭酸飲料一般)、ノンアルコールビールなど様々なものを口にしました。
動物:
カラス(日本とは色、鳴き方が異なるもの)、ハト、スズメ(日本とは形態、色が多少異なるもの)、犬を見かけました。(ペルシア猫という流布された言葉とは異なり、猫は見かけませんでした。)
マネージャー:
ハスラティー教授が今回も講座を取りまとめて下さいました。
観光に出かける際には、世話役である女性職員1名(サラ・ヤズダーンファルさん)の他にガードマンとして男性職員、運転手さん(ヤルベさん)が同行してくださいました。
服装:
女性は髪を隠すことを義務づけられているので我々女性陣も毎日髪はチャードルで覆っていました。また体のラインを極度に主張するものは避け、コートなどを着用していました。ケルマンシャーの多くの女性はヘジャーブと呼ばれる体全体を覆う黒い布を着て颯爽と大学構内を歩いていました。その風になびく姿は凛として勇ましく、我々からの憧れの眼差しで溢れたものでした。
簡単な感想:
今回初めてイランに行ったのですが、イランで出会った人々の心の広さには本当に心打たれました。大学で出会った教授方、生徒たち、施設のオーナー、タクシーの運転手、バーザールの人々、博物館の受けつけの方、市街を歩く若者・・・挙げたらきりがありません。ケルマンシャーは特にイラク国境に近く、当初不安も多少ありましたがそのような心配は無用でした。ケルマンシャーはイラク、トルコ、クルド人と多種多様な民族にあふれ様々な要素をはらんだ小さいながらも重みのある魅力溢れる都市でした。イランは国土が広大であり一度の視野内だけでは包括しえないと思わせる景観に満ちていましたが、ふと足元に目を向けると春の訪れを感じさせる草花が生え、砂を含んだ風がそっと吹き、人々が発する流れるようなペルシャ語が耳に届き、すべての細かな要素がこの国の食事や衣服、生活習慣の為にあり、結びついていると当然のことながら改めて感じさせてくれる国でした。それと同時に日本とは異空間とは感じさせるものの決してすべてが隔たっておらず、日本人の心を和ませてくれる何かがある、とも感じた国でした。
イラン、また是非行きたい国です。
ラーズィー大学の中心講義棟です。後方の山も大学構内で、山の上部では雪をかぶっていました。
宿舎の方の家にお邪魔した時の写真です。果物やナッツを広げて食べながら談笑しました。
ゴレスターン宮殿(テヘラン)内の壁画です。各地で壁画を見ました。
ゴレスターン宮殿に咲いていた花です。イランではあまり見ない咲き方の花だったように思います。ケルマンシャーからテヘランに戻ってきたら春の季節を強く感じたので。。
ケルマーンシャーのテキーイェでの写真です。壁画が素晴らしかったです。
チェロウ・モルグという料理です。宿舎の方につくっていただきました。
この量でお昼用!ゼレシュク(クコ)もおいしかったです。
イランでの一般的な食事、キャバーブです。このように様々な野菜と一緒にいただきます。