1. 留学準備
留学を決意したのは3年生の前期。何度旅行に訪れてみても、どうしてもイラン人の素顔や暮らしが見えてこない、どうしても見てみたい!というのがきっかけでした。そのためには日本人が少なくて、四六時中イラン人といられる環境がいいだろうと、当時協定を結んだばかりのアッラーメ・タバータバーイー大学への派遣(交換)留学を決めました。
○ 留学までの流れ
3年生の冬、大学内で正式に留学が認められました。翌年5月、イランへ出張する先生に自己紹介文、東京外国語大学の推薦状などの書類を託し、次に帰国した先生からイランの大学側から渡された書類に記入・郵送しました。郵送して2週間経った6月の中旬に、イランの大学へ電話をかけ、担当者に書類が届いたかどうか確認すると「届いています」と返事がありほっとしました。ところが、ここからが本当の戦いでした・・・。
それ以降、イランの大学側からは何の音沙汰もなくなり、ビザがおりないまま、どんどんイランの新学期が近づいてきました。何度電話をしても、イランの大学側担当者は「私の手元にはないからわからない」、イランの外務省や在日イラン大使館からは「大学からの書類がまだなのでビザは出せない」という回答が続きました。
業を煮やした私は、イランにいる友人に書類の行方を捜してもらいました。すると、私の書類は副学長の机の上でサインを待ったまま止まっていたのです!友人が急いで書類をまわし、外務省へ届けてくれたおかげで、2週間後にはビザが下りました。ビザを受け取った翌日、慌しく出国し約1ヶ月遅れで留学をスタートさせました。これでも例年に比べ、早いスタートです。
○ ペイギーリー社会のイラン
イランの事務手続きや書類の流れが非常に複雑なのは有名で、みんな口をそろえて言うのが「ペイギーリーが大事だよ」。あまりの複雑さに、書類が忘れ去られたり、失くされたりしてしまうことがあるのです!そのため、常に書類の現状を確認し、「私の書類、忘れないでね!」という主張をしなければなりません。イラン留学中、事務手続きではいつも「ペイギーリー」の重要さを痛感していました。他国に留学する友達がうらやましくなるほど煩雑な手続きでしたが、何度もイラン人と話したことで、留学前のペルシア語の練習になりました。