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澤畑剛さん(1998年卒業)



   エルサレムにて


*1998年日本放送協会入社。2007年6月からカイロ支局。




アラビア語の強み

中東報道に携わって3年。大学で学んだアラビア語がいかに強力な武器であるかを実感するとともに、もっと真面目に勉強しておけばよかったと後悔の日々を送っている。

アラビア半島の南端イエメンで、テロ事件の裁判を取材した際、鉄格子の向こう側でわめき散らすアルカイダの被告達に対して「タアールー!」と呼び寄せて、格子の間にマイクを突っ込んで話を聞く。また、アラブ各国の指導者に単独インタビューする際は、通訳を介さないが故に、相手が独裁者であろうが構わず、話し途中にビシバシ突っ込みを入れる。

英語のメディアはもちろん、指導者の演説の垂れ流しが多いアラブメディアでは不可能な取材ができているのかも知れないと時折思う。要するに、報道におけるアラビア語のメリットは▼庶民から国家元首まであらゆる人々に接触できること▼通訳を介さずにたっぷりと話が聞けること▼アラビア語の新聞テレビ等、翻訳されない無数のアラビア語情報にアクセスできることだと思う。

なぜアラビア語を選んだのか?

この問いは、アラビア語専攻者がどんな進路に進もうとも、ずっとまとわりついてくる。アラビア語というだけで、世間からは奇異の目で見られ、問い詰められるケースも少なくない。私の場合は「高校時代に湾岸戦争があって、当時、アラブはすごくブームだったから」と答えることにしている。すると、たいていの場合「えっブーム?物騒なだけでしょ」と冷たく反論されるので、「アラブの面白さ」をじっくり語ることにしている。

皆さんが卒業後、「なぜアラビア語を選んだのか?」と問われたときに、はつらつと語れる自分がいるのかどうか、頭のほんの片隅に置いて、頑張ってください!


                                                                  バクダードにて