Bahasa Melayu TUFS 文法

マレー語の概要

言語学において「マレー語」と呼ばれる言語は、マレー人の言語として発生した、オーストロネシア語族西部マラヨ・ポリネシア語派の言語を指します。マレー語の起源には諸説ありますが、ボルネオ島に端を発し、スマトラ島で繁栄し、マレー半島に伝播したとする説が最も有力です。長い歴史の中で、マレー語は交易言語として用いられ、東南アジア島嶼部で広く用いられるようになりました。

現在、マレー語を国語とする国は、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシアの4カ国です。マレーシアの国語は「マレーシア語」とも呼ばれます。また、インドネシアの国語は「インドネシア語」と呼ぶのが普通です。シンガポールでは、シンガポール英語(シングリッシュ)や華語(北京語)が広く用いられるものの、マレー語はマレー人の言語として根強く定着しています。また、国語指定には至っていないものの、タイ深南部ではマレー語を母語とするマレー人が人口の大半を占め、マレー語が日常言語として用いられています。

ここで学ぶマレー語は、マレーシアで地域の差を超えて用いられる、標準マレー語(bahasa Melayu Standard バハス ムラゆぅ タンダードゥ)です。マレーシアの標準マレー語は、シンガポールのマレー語とほぼ同じで、ブルネイでも通じます。インドネシア語とは、ある程度は共通ですが、相違点も多く、その差は年々広がっています。

【参考】規範言語

マレーシアでは、規範言語(bahasa baku バハス バくぅ)と呼ばれる、「正しいマレー語」を規定しています。規範言語は人工的なものであり、定着するものもあれば、知識としては知られていても実際には使用されないものもあります。「規範言語=標準語」とみなすマレーシア人もいますが、ここではそうでなく、人々が自然に使う言語を標準語と呼び、人工言語の規範言語とは区別します。

マレー語には、文語体と口語体が存在します。2つの文体は連続的なものですが、その使い分けは非常に大切です。文語体は、書き言葉および非常に改まった場面での話し言葉で用いられます。口語体は、話し言葉一般および漫画やSNSなど非公式の私的な文章で用いられます。ここでは、口語体特有の要素は Abc のように書体を変えて示し、文語体および文語体・口語体共通の要素と区別します。