東南アジア課程は、1992年4月、インドネシア・マレーシア語学科とインドシナ語学科の統合改組により誕生した東南アジア学科を母体に、1995年4月に発足した広域組織です。本課程は、わが国との関係がますます緊密でその重要性が増している東南アジア全域を教育・研究の対象としていますが、専攻語としては、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、ビルマ(=ミャンマー)の8か国語の主要言語が置かれています。これらの語学教育を基礎に、その地域の言語・文化・歴史・社会・政治・経済などの諸分野の多角的かつ総合的理解を通じて、その深く幅広い学識と良識ある言動で、将来東南アジア地域に関わってゆく優れた人材を養成することを目指しています。 |
上記8カ国の言語の中から受験志望の際、学生各自が選択した専攻語の学習が入学後から始まります。また本課程では、専攻語以外に、サンスクリット語、パーリ語などのインドの古典語、漢語、ジャワ語およびオランダ語など関連語を学ぶことができます。さらに、シンガポール、ブルネイなども視野に入れた教育が行われています。 |
東南アジア地域は、言語系統的には、オーストロネシア語族に属す、インドネシア語、マレー語、フィリピン語など島嶼部の言語、カンボジア語、ベトナム語などのオーストロアジア語族、タイ語、ラオス語などのタイ・ガダイ諸語およびビルマ語などのチベット・ビルマ諸語等に大別されます。また、文化的には、古くは、旧北ベトナムのように「中国化」された地域を除けば、概ね「インド化」された地域ですが、その後の新しい宗教文化の伝来によって、今日では、イスラム教圏に属すインドネシア、マレーシア、キリスト教圏に属すフィリピン、上座部仏教圏に属すタイ、ラオス、カンボジア、ビルマおよび儒教・大乗仏教圏に属するベトナムなどに分かれます。さらに、政治・経済的には、タイを除く東南アジア諸国は植民地として長年外国の支配下に、また、第二次大戦中は日本軍占領下にありましたが、これらのことが独立後の各々の政策に少なからず影響を及ぼし今日に至っています。 |