藤縄 康弘(ドイツ語学)Room: 648

ゼミ紹介

   私の専門領域である「ドイツ語学」については、誤解が多いのですが、いわゆる「語学」としてのドイツ語のことではなく、ドイツ語を対象とする「言語学」という意味です。両者の関係は、計算と数学の関係にたとえれば想像しやすいでしょうか。 計算では、足し算なり引き算なりの演算の手順を覚え、訓練を積み、即座に答えが得られるようになることを目標にします。語学でもまた、語彙や文法のルールを学び(手順)、実践を積むことで(訓練)、自分の考えを言い表したり、他人の考えを理解したりできるようになろうとします(実用的な能力の習得)。これに対し、数学では個々の演算をいかに早く正しく行うかではなく、そもそもどうして演算というものが可能なのか、自然数同士の足し算では答えも必ず自然数になるのに、引き算では必ずしもそうならないのはなぜなのかといった、より根源的な問いに向き合います。言語学でも同様に、いわゆる「語学力」を高めることは目標ではなく(それは後期専攻語の授業等で磨いてください)、そもそも人はどうして言葉を使うのか、その表現の仕方が諸言語間でどのように共通し、どのように異なっているのか、また、それはなぜなのか、といった問いに関心を向けます。その際、対象として特にドイツ語に重点を置くのがドイツ語学というわけです。
   もっとも、こうした言語学(ドイツ語学)の問いは、いわば究極のものであり、それだけではあまりに広大で漠然としています。そこで実際に取り組む問いはもっと範囲の絞られた、具体的なものになります(下記「卒論・卒研について」参照)。ゼミでは、3年生の段階で各自追求するテーマを決めてもらい、少しずつ調査・考察を進めながら、最終的に卒業論文につなげてもらうようにしています。与えられた課題に取り組めばよいというものではないので、大変に思う人もいるかもしれませんが、あまり心配しなくて結構です。語学としてドイツ語を学習する中で、これまでは「そういうものだから仕方ない」と割り切って覚えてきたものの、本音のところでは「どうしてそうなのだろう?」と不思議に思っていることはたくさんあるでしょう。そういう「不思議だな」という気持ちを素直に解きほぐしていけば、案外、簡単にテーマは見つかるものです。また、授業は3年生・4年生合同で行うので、3年生は4年生のやり方を参考にすることもできるでしょう。希望する人には、大学院の演習にオブザーバーとして参加することを勧めますし、学内外の各種研究会も案内します。

卒論・卒業研究について

   私(藤縄)が2009年4月に赴任したばかりであり、本稿執筆時の2009年9月現在、まだ卒業生を送り出していないため、卒業論文については、実績でお話することができません。とはいえ、現在、指導中のゼミ生が取り組んでいるテーマを挙げるなら、日本語のオノマトペがドイツ語ではどのように表されるのか、形容詞の程度を高める sehr と ganz はどう異なるのか、名詞の性は日本語からの借用語の場合どのように決まるのか、などがあります。

受講上の注意など

   専攻語であれ、副専攻語であれ、語学としてのドイツ語を学習していることが条件です。ドイツ語プロパーのテーマばかりでなく、他言語との対照でも結構です。また、上述のような文法論、語彙論のほか、音韻論、語用論、歴史言語学、方言学、社会言語学なども、ドイツ語を対象とする限り、立派なドイツ語学のテーマです。ただし、私の直接的な研究対象は現代のドイツ語、しかも標準的なドイツ語ですし、その隅々まで知采しているというわけでもありません。みなさんがどんなテーマを選ぶにしても、助言は惜しみませんが、調査し、考え、疑問を解くのは最終的にはみなさん自身なのだということは銘記してください。

 

last updated on 2009/9/18