東京外国語大学出版会

出版会について

読者のなかに、ある反響を生みだしたい

岩崎稔(本学大学院教授・出版会編集長)

 東京外国語大学は、情報を蓄積し、伝達するだけではなく、それを形ある“書物”として丁寧につくりあげ、知性にたいする敬愛とともに次世代にしっかりと受け渡していきたい、との強い願いから独自の出版会を立ちあげました。

 東京外国語大学出版会がめざしている出版活動は、第一に、他の大学では肉薄することのできない国境を越えた言語と文化のリアリティに迫ること。第二に、他大学の追随を許さない言語教育の教材とスキルを提供すること。そして第三に、空間と歴史の両面からアプローチした世界の政治・経済・文化の“認識”と“思考”の手助けとなる道具を整えることです。つまり社会と知性とのあいだにある媒介的な領域での出版活動です。

 不確かだけれども、まぎれもなく存在している読者をつねに意識し、その存在のなかに、ある反響を生みだしたい。これが東京外国語大学出版会の出版理念であり、大望です。
 いまデスクには、世の中に出ようとする企画がひしめき合っています。これまで以上に熱い知を発信しつづける出版会に、ご期待ください。 

2010年10月

ピエリア・ブックスの由来

岩崎務(本学大学院教授・出版会編集委員)

 古代ギリシア人たちは、オリュンポス山を神々の住まうところと想像しましたが、ピエリアとはその北麓にあたる区域を指しています。地上に向かう神々が最初に降り立つ地であり、また何より、女神ムーサ(ミューズ)たちの生誕地とも見なされました。知られるとおり、ムーサは詩文や芸術をはじめ、あらゆる人間の知的活動を司る女神です。ムーサに見守られた者の口からは優美な言葉が流れだす、と古代の詩人は歌いました。
 また、ピエリアの地でムーサたちの母となったのは「記憶」の女神ムネモシュネ。したがって、忘れてはならない大切なことを伝えていくのもムーサたちの働きです。はじめは口伝えで歌い継がれたものが、やがて書物という形をとりました。
 どうか、ピエリアと名づけたわたしたちの叢書と冊子が、ムーサの知恵と未来へと受け渡す優美な言葉に満ちたものになりますように。

* 「Pieria Books」は、たしかな知識と柔軟な思考、そして豊かな精神を育むために、国際性・学際性に富んだ多彩なテーマを社会に提供する東京外国語大学出版会の叢書です。
* 「読書冊子 Pieria」は、多くの書物を読み継いできた本学の教員から、未来への希望と可能性にあふれた新入生や在学生にむけて編まれた、東京外国語大学出版会と本学附属図書館の共同企画による読書冊子です(毎年4月発行)。

2010年10月

本学独自の多彩な成果を発信します

谷川道子(前本学教授・ドイツ文学者)

 2007年の秋以来、設立に向けて準備を進めてきました本学出版会がいよいよスタートします。新たに発足する出版会では、言語・地域研究・人文学という本学の教育研究分野をふまえ、啓蒙書として多彩なテーマを取り扱うオリジナルな叢書、多様な研究分野における優れた学術書(翻訳書を含む)、豊富な教育経験に基づいた語学の教材などを中心に、本学独自の教育研究成果を社会に発信してゆきます。
 厳しい出版状況の中での船出ではありますが、「矛盾こそ希望だ」というブレヒトの言葉を胸に、エディターシップをもった学内組織の出版会という新たな試みに挑戦し、企画・編集機能を十全に発揮した丁寧な本づくりによって、選りすぐりの企画を出版物として提供していく決意です。
 目下、2009年3月の刊行開始をめざして、鋭意、編集作業を進めています。本学の豊かな知的資源とその魅力を多くの人々に伝える出版活動に、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願い致します。

2008年10月

本学出版会の設立にあたって

亀山郁夫(本学学長・ロシア文学者) 
 
 本学では、世界諸地域の言語・文化・社会に関する教育と研究を通じて、地球社会における共存・共生に寄与することをめざす本学の基本目標をふまえ、教育研究成果の発信力強化を掲げる「アクション・プラン2007」に基づき、出版会を設立することになりました。
 110年以上におよぶ本学の歴史のなかで蓄積されてきた〈世界知〉の資源とその経験は、地球社会がいま直面している諸問題の解明に大きな力となるはずです。新たに船出する本学出版会では、そうした豊かな〈世界知〉の蓄積を活用して日々取り組まれている教育・研究の成果を広く社会に発信し、さらなる教育・研究活動の振興と、地球社会との協働を促進していくための知識の普及をめざします。
 出版会の設立にあたり、本学関係者、ならびに卒業生のみなさま、各関係機関のみなさまには今後ともご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

2008年10月

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