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2023年5月 アーカイブ

2023年5月18日

ダカール行ってきました!!

長々のご無沙汰をお詫び申し上げます。ハカセ課程の院生(セネガルからの留学生)とその課程ハカセを終わってほどない卒業生と三人でセッションを組み、現地セネガルのメディナサバ地区の女性協同組合とのコラボ企画の一つとして、ダカールで開催されたGSEF(Global Social Economy Forum)2023に参加してきました!当方は初アフリカ出張、エチオピア航空、アジスアベバのトランジットを含む30時間あまりのフライトは、地球に沿って移動しているようなものでおそろしく遠かった。気候は20度代だから東京と変わらないかなーという甘い考えは見事に打ち砕かれ、学会の場ですら英語はあまり通じず、乳幼児レベルのフランス語を駆使ならぬ苦使しながら、「アフリカはお腹を壊して一人前です」という経験者某D先生のお言葉通りになった日々であった。いや、決して生水など飲まず飲酒もせず、食事にも気を付けてはいたのだが、その食事はやはり見事にスパイシー、太陽の光は想像をはるかに超える強さで、そのもとでは通常のスケジュールが日本でそれをやるのに比べて何倍かハードなのであった。(あと、中日の夜遅くにKeurGuiのお二人がホテルを訪ねてくれて、懐かしいおしゃべりについつい夜更かしをしたことは、その後相当にこたえた。しかし翌日以降の体調なんかには代えがたかったのだった!かれらは相変わらず情熱の塊で地頭の冴えは超一流、こころざしは一ミリもぶれていなかった。)
われらがプロジェクトはどこで話してもとても好意的に受けとめられたし、大切な人脈がいくつもできた。
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(これはわれわれのセッションが終わって参加者も一緒に撮った集合写真。ナカヤマは連帯の意を表するために、留学生院生ファファさんから以前にもらったセネガルのドレスを着て報告した。これを着たままホテルに帰ったら、エレベーターの中で「ウォロフ語、話せる?」と話しかけられた。その時は「ん?なんで?」と思ったが、後で思い返すと間違いなくこの服のためだ!)。

そして何より、あのどこも渋滞だらけで埃っぽく、ワサワサと騒がしく人びとが暮らしているダカールの喧騒が、わたしはとても好きだった。今回はほとんど学会と高級ホテルの往復で、中日にみなで車でカオラックの視察に出た以外、街を歩いたのは帰国前日の夕方以降だけだったが、地元の人たちの行く焼き肉屋(?というべきか)のむせるような煙たさ、人びとの(まあ若者とくに男の子が明らかに多かったからとはいえ)これでもかというほどに豪快な肉の食べっぷり、道ばたで買って紙コップでちゃっと飲む甘ったるいコーヒーも、ダカールの愛おしさの一端だ。ほんとうによくしてくれたファファさんの大切な仲間たち、話し足りなかった研究者の人びと、また会おう!いつかまたきっと、あの地を踏みたい。

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(同行したMちゃん提供の焼肉屋さん風景。煙が目に染みる、なんてもんじゃない。ケホケホ、目をパチパチ。しかし直火でジュジューッと焼かれる串刺し肉はとびきり美味である。ビールじゃなくファンタがそれに添える飲料なのが、いや、文化(宗教というべきか)とはいえ、どゆこと?!である。もっとも当方の胃腸状況は、その串刺しを1、2本おそるおそる食べる程度の強さしかなかったので、あったとしてもビールどころではなかったのだが)。

2023年5月22日

ああ、日帰り出張

昨日は兵庫県の保険医協会に呼ばれ神戸でレクチャーをさせていただいた。昨年12月に東京のそちら関係の会合で一度やらせていただいたご縁である。その時も今回も「コロナ禍の後の世界をわたしたちはどのように考え、どのように生きるべきか」というお題で、当方などから医療従事者のみなさまにお話しできることなどおよそないにもかかわらず、ご指名をいただいたのだった。前回も今回も忸怩たる思いを抱えながら、なぜか今回は拙著の、そしてさらに昨今出たばっかりの関連書籍の販売までもしていただいて、まさかの「サイン会」(ええっ?!これぞ人生初)まで行ったのである。サインはないので相手様のお名前の下に一言書いて、「中山智香子」と地味に署名するだけなのだが、レクチャーそのものより緊張した。次にそんな機会があるといけないので(?)今度サインを考えておこうと思う。
レクチャーのテーマは「ポスト新自由主義の経済を考える:身体に向き合う時代へ」とした。新型コロナのウイルスがグローバリゼーションや新自由主義の負の側面に目を向けさせており、負の側面とは身体への負荷であるというハナシである。長時間の移動をすれば身体は疲れるし肩こりや腰痛を引き起こす、と具体的に説明しながら、自分は神戸往復を日帰りで行っている。ああ語るに落ちたか、この矛盾。真夜中に向かう新幹線に揺られながら、身体に向き合う経済は容易ではないとつくづく思った。

さて、「昨今でたばっかりの関連書籍」とは、当方が監訳をさせていただいた『ポスト新自由主義と「国家」の再生』(鈴木正徳さん邦訳、白水社さんから近日発売予定!)である。これMitchell&Fazi2017.jpg
共著書で第一著者ミッチェルさんはMMTの代表的論客の一人、第二著者ファシさんはジャーナリストで映画監督でもある。両者ともに明確に左派を名乗っており、日本の混濁し屈折した政治状況からみるとなんともすがすがしい。ファシさんは映画監督として来日したときお目にかかっているので知り合いなのだが、「出たよー」と連絡して表紙の写真(上記と同じもの)を送ったら「素敵だね!邦題は "Make The Left Great Again"なの?と返信あり。それは英語だろう!と突っ込みたくなるが、原著はちょうどトランプ旋風が吹き荒れていた時代に刊行されたのである。新自由主義の歴史的文脈の批判的考察、グローバル世界の中でMMTの位置の主張。なかなか面白いので、みなさまにも書店でみかけたらぜひ、お手に取ってみてくださいませー。

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