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学縁?意外と深いー

先週つまり2月末のとある午後、外語大9条の会の中核メンバー3名と、かつて当方の院ゼミも受講されていた元院生(社会人)のTさんがご一緒に研究室へいらした。外語大9条の会のみなさまとは、ずいぶん久しぶりである(拙ブログを見直してみたら、当方を講演会に呼んでいただいたのが2018年6月であった)。今回はTさんの呼びかけで、戦後75年目となる今年の外語祭で企画を出すため、現役学生とコラボしたいというご相談である。実はTさんこと竹内雄介さんは学部は一橋大学のご出身で、「戦争と一橋生」と題して戦没学生のことを調査、紹介する企画を、もう何年も続けている。今度は外大生ヴァージョン「戦争と外語生」をやろうという主旨である。外大がまだ大学になっていない時代を含むので、外大生ではなく外語生という呼称がよいのではと。

Tさんはすでに下調べを進めており、焦点をあてたい人物のリストも持参された。何となく「戦没学生」と聞くと無名兵士をイメージするのだが(当方だけだろうか?)、Tさんがテーブルの上に置いた数冊の本は、なんとそれらの外大出身者が主人公なのだった!『きけ わだつみのこえ』に収録されている外大生もいるとのこと。ざっと一端をうかがうだけでも相当に面白く、きわめて重要なプロジェクトだとみなで盛り上がったとき、9条の会メンバーで現役時代は某出版社の編集者であったSさんが、ポツリと、「地縁とか血縁というけれど、学縁というんでしょうか、『きけ わだつみのこえ』を読み直して、自分の先輩がこうやって戦争の時代を生きたと思ったら、なんだかこう、とても胸に迫るものがあって...」とつぶやく。たしかに「戦争」という特異な歴史的事実に対し、遠い昔の出来事ではなくおのずと身近なものに感じる一つの手がかりとして、「学縁」というきっかけもアリなのかもしれない。現役学生を巻き込みつつ、せっかくなのでちゃんと情宣もして、できればプレ・イベントなども行ってさらに情報を集め、じっくり考える機会をもちたい。

さっそく関連文献を手に入れ始め、到着した一冊目を読んでみたら、うおっ!これが滅法おもしろい。いや、とても辛い話しなのだがー。辺見じゅん『収容所から来た遺書』である。
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単行本が出たのが1989年、文庫になったのが1992年で、2019年6月になんと22刷。恐れ入りました。どれだけ面白いか、この増刷数だけでも明らかであろう。どんなふうに秋の企画をつくっていくか考えると、今からワクワクする。

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2020年3月 3日 00:20に投稿されたエントリーのページです。

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