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Pちゃんに学ぶ

昨年の夏、拙ブログでも紹介させていただいたわがゼミ生有志による沖縄合宿、たまたま写真部員(ブチョーも)と相当の写真好きが揃っていて、夥しい数の写真を撮った。その後、外語祭の機会にゼミのスペースをもらって傑作(?)数枚を展示し、エッセイを掲げたが、果たしてどれほどの人が見てくださったのだろうか。そんなわけで、きわめて鮮烈だったに違いない体験がなかば埋もれてしまっていた。
ところがそのメンバーたちが一念発起し、このたび『沖縄合宿報告書』をまとめたのである。ページ数は控えめだが内容はなかなか充実しており、昨晩遅くに送られてきた最終稿をみたときには、良い意味で軽く衝撃を受けた(というか感激で少し泣いた)。本日506Bにて最後の編集に携わっていたRちゃん、Mちゃんは連日のハードワークからか、ついには変なテンション状態となっていたが、なんとか無事に入稿し、後は(印刷所の連絡と)完成を待つばかりである。
もうひとつインパクトの強かったことがある。昨年度もゼミ論考集を一冊の本としてまとめたのだが、それは(とある助成金を申請したものの落選したという経緯もあって)当方が私費を投じて製本したものであった。ゼミ生諸氏の成長を思えば惜しくない道楽だと割り切ってのことである。今年は例年通り、コピー用紙に印刷したものをホチキスで止めるだけの、文字通りの簡易製本形式に戻す予定であった。ところが上記メンバーたちと話しているうちに、有志や歴代ゼミ生のOB・OGその他の方にも寄付を募ったり実費でお分けしたりすれば、採算がとれるのではないかという考えが浮上した。そしていろいろ相談しそろばんをはじいた結果、このプロジェクトを挙行するという結論に至ったのである!
たしかに本づくりの現場においてかかるコストを学ぶことも、重要な側面に違いない。昨年度、おカネの動きを度外視して論考集をまとめたことは、ゼミ生諸氏を子ども扱いしすぎだったかもしれないと(珍しく。てへ)反省した。

そんなことを考えているうちに、一、二ヶ月ほどまえに若い研究仲間から教えてもらった本のことを思い出した。黒田恭史さんの『豚のPちゃんと32人の小学生:命の授業900日』(ミネルヴァ書房、2003年)である。この本のテーマは、「食べるために豚を飼う」ことを提案し、実現した新米先生と子どもたちの体験記を通じていのちを考えるというものだが、その一節に、豚のPちゃんが大きくなってしまって小屋を立て直さなければならないというくだりがある。そんなお金をもっているはずのない子どもたちは、一生懸命ゴミ拾いなどをして貯めた有り金全部をもって建材屋さんと交渉する。それ自体も「いのち」を育て、支えるためのプロセスの一つというわけである。
ちなみにこの本と、同体験を映像でとらえたDVDも賛否両論だったようで、それについても書きたいことはあるが、次の機会にしておこう。ともあれ黒田先生は、子どもたちだけでなく教師も大いに学んだとさかんに強調されていた。まさに同感である。

なお、完成した合宿報告集をご希望の方は、ぜひとも中山までお知らせくださいませー。寄付も随時受けつけておりますので、どうぞよろしくお願いいたしますー(これもゼミ生諸氏とやりかたを検討中ですが)。

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2016年3月16日 23:40に投稿されたエントリーのページです。

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