本日3月17日付のニュースが「原発3基 廃炉決定」を繰り返し伝えている。美浜1,2号、敦賀1号といずれも運転開始後40年をこえて老朽化した原発である。もちろん他の原発の再稼働を視野に入れたものであり、手放しで評価するわけにはいかないが、まずのところ喜んでよいニュースであろう。
2011年3月11日から4年が経過した今年2015年3月11日、渋谷の駅前で街宣するY沢さん(「希望の牧場」の主)に耳を傾ける人は多くなかったが、震災の記憶は「風化している」ばかりではないと信じたい。
ところで、「震災後の文学」として高く評価されているいとうせいこうさんの『想像ラジオ』が文庫化され、当方も遅ればせながら読んでみた。これがすごいのである。文句なしの傑作。
持っていた一冊を、知り合いのTさんのはなむけに差し上げてしまったため、もう一度買い求めたところ、前回は初版(2015年3月11日)だった奥付が、2015年4月5日10刷となっている!どえええ、一ヶ月弱で10刷!!
何ともうらやましい、もとい何とも素晴らしい!震災の記憶は風化しているばかりではない、とここでも心強く感じた次第である。ちなみに先のTさんは、わが本務校修士の授業に来てくれた社会人院生さんであったが、学位をとってしばらくしたこの4月から、福島県の職員としてはたらきに行くことにしたそうである。さまざまなひとが、それぞれの場所でそれぞれできることをして、新たな世界を作って行こうとしているのだ。こうした地道な取り組みが、状況を少しづつでもよい方へと導くのであろう。春の兆しを感じた一日であった。