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吾輩は生ける石である?

いよいよ台風11号の影響が東京にまで迫ってきて、外は暴風雨である。川内原発のパブコメが15日までなので、資料を読んでコメントを書いていたら、心も暴風雨になった。やたら分量ばかり多くて肝心な点の対策については書かれていない。「科学的コメント以外は受け付けない」? はあ?科学社会論の論者たちがそういう問題ではないと明らかにしている知見は無視ですか?まったく腹立たしい。
気分を取り直すために、数日前に参加したイベントのことを少し。下北沢のB&Bは、Bed and Breakfast ではなくBook and Beer。まるでどこかの本好きの友人の家の本棚を見るような並べ方で、本を大切に並べて夜中まで開けてある本屋さんの空間は、居るだけで心地よい。そこでは毎日、本に関するイベントが開かれている。うーん、なんとも贅沢である。先日はかの若き俊英M氏が翻訳した『猫の音楽』について、当のM氏がゲストとともに登壇してトークを行った。

手に取った誰もがうわあお、と驚嘆してしまう表紙のヴィヴィッド・カラー、猫と音楽というテーマのお洒落な感じとは裏腹に、中身は結構エロかったりグロかったりする。猫は他者であり、その音楽は中国の音楽?!うわああお。邦訳にもはさまれた数々の絵図に加え、原著がCD付きであったということで、各種の猫の音楽を織り込みながら、なんとも見事に準備されたM氏ワールド、そこにたとえば著者レーベンシュタインはハンガリー系の入ったドイツ系の鬼才で、レーベン(ライフ)・シュタイン(ストーン)つまり生ける石である...、というような語りに、集まった聴衆は魅了された(用意された椅子では足りずに椅子が足され、会場スペースが拡大されたほどの盛況)。登壇者お二人のお知り合いであるという詩人兼編集者A氏の語りも嬉しいサプライズ、セッション後のおしゃべりも楽しかった。はうーん。しかしそんな余韻と裏腹に、「西洋は東洋という巨人の肩の上に乗って東洋を支配したのだ」というA.G.フランクの『リオリエント』のことを思い起こしてしまう、ミドルマウンテンであった。(?)うーん、これだから思想史はおもろい。

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2014年8月10日 12:05に投稿されたエントリーのページです。

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